注目の論文
【惑星科学】火星上で河川によって運ばれた中礫
Nature Communications
2015年10月14日
Planetary sciences: Martian rocks that roll
火星上で丸みを帯びた中礫が河川によって数十キロメートルも運搬されていたことを示唆する新しい論文が、今週掲載される。今回の研究で利用された新しい技術は、火星以外の惑星でも中礫と微粒子が運搬された距離を推定する上で役立つ可能性がある。
火星探査車「キュリオシティ」によって火星の岩石層から小さな丸みを帯びた中礫が発見されたことは、かつて火星に大小河川が存在していたことを示唆しているが、これらの点に関する解釈は確立されていない。再現研究によれば、中礫が河床を転がり、滑り、跳ねたために丸みを帯びたことが示唆されているが、中礫がどの程度遠くまで運搬されたかという定量化はなされていなかった。中礫の形状は、河川による粒子の運搬中に失われた質量を推定するために用いることができ、この質量の減少分は、中礫が運搬された距離と同等と見なされる。
今回、Douglas Jerolmackたちは、プエルトリコと米国で実施された河川によって運搬された中礫の調査に加えて、数々の実験を行い、中礫の形状だけで中礫の運搬距離を推定できることを明らかにした。Jerolmackたちのモデルは、地球での検証を経て、火星の岩石層で見つかった中礫の解釈に用いられた。
今回の研究は、今後実施される風によって運ばれる粒子の解析研究と組み合わせれば、現代の火星における砂丘活動の解明を進める上で役立つだろう。
doi: 10.1038/ncomms9366
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