注目の論文
浸透圧ショックによる多孔性材料作製
Nature Materials
2011年11月28日
Collective osmotic shock
細胞やベシクルなどの溶媒透過性ソフトマテリアルは、浸透圧の不均衡に起因する圧力の高まりによって破裂する可能性がある。このたび、秩序構造を持つ材料内で浸透圧による破裂を起こすことによって、規則的に孔のあいたナノ多孔性材料を作製できることが、Nature Materials(電子版)に報告される。この方法で得たナノ多孔性材料は、フォトニクスやオプトエレクトロニクス、ナノろ過への応用が見込まれる。 E Sivaniahらは、そのような「集団的浸透圧ショック(collective osmotic shock)」が起こる材料を作製するために、ポリスチレンマトリックス中にポリメチルメタクリレート球(PMMA)が多層状にぎっしり詰まった自己集合ブロック共重合体膜を用いた。Sivaniahらは、紫外光でPMMAをオリゴマーに分解した後、酢酸溶媒中に膜を浸漬した。膜に酢酸溶媒が一層ずつ浸み込んでいくにつれ、オリゴマー球は膨張し、協調的に変形・破裂する。その結果、周期的なナノ孔が得られる。Sivaniahらによると、変形可能なマトリックス内で選択的に分解し溶媒和する成分を含んだ秩序構造材料であれば、このようなナノ孔発生現象が起こるとのことである。研究チームは、これらの多孔性構造体が一次元フォトニック結晶としてふるまうこと、さらに限外ろ過膜や発光デバイスの電極として使えることを実証した。
doi: 10.1038/nmat3179
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