注目の論文
【天文学】暗黒物質が存在しない銀河
Nature
2018年3月29日
Astronomy: Dark matter ‘missing’ in a galaxy far, far away
観測されている銀河の運動は、暗黒物質という目に見えない謎の物質がもたらす質量によって説明できると一般に考えられているが、地球のはるか遠方に、暗黒物質がなく、通常の物質だけでできている銀河がある、という意外な事実を明らかにした論文が、今週掲載される。
大部分の銀河では、存在する物質の中で暗黒物質が大きな割合を占めている。我々の天の川銀河のような銀河では、暗黒物質と通常の物質は約30:1の比率で存在しており、天の川銀河より質量の大きな銀河でも小さな銀河でも比率はこれより大きく、例えば、矮小銀河では約400:1である。今回、Pieter van Dokkumたちの研究グループは、NGC1052-DF2銀河を調べて、この銀河内に見つかった10個の明るい星団の運動に基づいて、この銀河の質量が、目に見える星の見かけの質量の合計とほぼ等しいことを明らかにした。この新知見は、NGC1052-DF2銀河に暗黒物質が全くない可能性を示唆している。
また、逆説的ではあるが、今後NGC1052-DF2に似た銀河が新たに発見されれば、その存在は、暗黒物質の代替として提案されてきた宇宙論的理論の一部を否定するために役立つ可能性がある。そうした理論の一例であるニュートンの運動法則の修正に基づく理論では、「暗黒物質」の特徴とされるものが全ての銀河で検出できると考えられている。
doi: 10.1038/nature25676
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