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古代の化粧品の放射性炭素年代測定

Communications Chemistry

2018年6月29日

Communications Chemistry: Carbon dating ancient cosmetics

Communications Chemistry

古代ギリシャと古代エジプトの化粧品について、年代を直接測定できる新しい方法を紹介する論文が、今週Communications Chemistry に掲載される。考古学者がこの方法を用いれば、古代以降に生み出された芸術品や化粧品の年代を測定できるようになるかもしれない。

19世紀まで使用されていた白色顔料の多くには、炭酸鉛が含まれていた。しかし、炭素年代測定法は、骨などの生体材料に用いられることがほとんどで、炭酸鉛のような無機試料の年代を直接測定するのは難しい。炭酸鉛には放射性炭素が含まれているが、これまで炭素年代測定法を用いて炭酸鉛の年代を直接測定できる方法はなかった。

Lucile Beckたちの論文には、炭酸鉛の年代を測定する方法が示されている。Beckたちは、この方法を用いて紀元前1500~200年のものとされる古代エジプトと古代ギリシャの墓から見つかった化粧用品の試料の年代を測定した。この方法は、製造当時に炭酸鉛に取り込まれた炭素に依存するため、天然顔料と人工の試料を区別できる。

Beckたちは、この方法が考古学者にとって古代の材料の年代を測定するための貴重な方法になるという考えを示している。また、炭酸鉛は歴史上、一般的な白色顔料として用いられてきたことから、この方法は芸術作品や絵画の年代測定にも利用できる可能性がある。

doi: 10.1038/s42004-018-0034-y

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