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アルツハイマー病のうまい治療法?

Nature Chemical Biology

2008年6月30日

A sweet route to treating Alzheimer’s disease?

Nature Chemical Biology

アルツハイマー病との関連が知られている重要なタンパク質のリン酸化を抑制する脳内の酵素阻害剤が同定された。Nature Chemical Biology(電子版)に発表されるこの研究は、アルツハイマー病の治療法を開発するための新たな方法につながる可能性がある。

過剰リン酸化タウタンパク質は、神経原線維変化と呼ばれる凝集体を形成する場合が多い。この凝集体の脳内での存在は、アルツハイマー病、および関連の「タウオパシー」と呼ばれる神経変性疾患にきわめて特徴的である。タウタンパク質のリン酸化には、O-GlcNAc化(ある種の糖分子の付加)と相互的な関係があると考えられている。これは、O結合型のGlcNAc(N-アセチルグルコサミン)という糖が増えるとタウタンパク質のリン酸化が抑えられるということである。

タウタンパク質のO-GlcNAcレベルを上昇させる方法の1つとして、タウタンパク質からこの糖を切り離す酵素の阻害が挙げられる。これまでに生み出されているO-GlcNAcase(O-GlcNAc特異的N-アセチルグルコサミニダーゼ)阻害剤は、体内で不安定であったり、合成が困難であったり、血流から脳内に入り込むことができなかったりしていた。D Vocadloたちは、こうした問題を克服する阻害剤を作り出し、これが体内のO-GlcNAcを増加させてタウタンパク質のリン酸化を抑制することを示した。

この阻害剤により、アルツハイマー病の治療標的としてO-GlcNAcaseを検討することとともに、脳内でのO-GlcNAcの役割を探ることが可能になるものと考えられる。

doi: 10.1038/nchembio.96

英語の原文

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