注目の論文
低分子でDR5を直接活性化させる
Nature Chemical Biology
2012年12月24日
Directly activating DR5 with small molecules
デスレセプター5(DR5)に結合し、それを活性化させることによって選択的ながん細胞死を誘発する低分子が、今週のオンライン版に報告される。
腫瘍壊死因子(TNF)またはTRAILをはじめとするその類似分子は、細胞表面のデスレセプターに結合して細胞死経路を活性化させるシグナル伝達タンパク質である。効果の高いがん治療法の確立をめざし、選択的ながん細胞死を誘発するために、細胞死を促進するこの経路のいくつかの段階が標的とされてきた。例えば、Smacと呼ばれる分子を模倣した化合物は、その経路の下流の構成要素を活性化させる。同様に、TNFそのものや、関連の細胞表面受容体を標的とする抗体を利用するものなど、デスレセプターを標的とする戦略も複数探究されている。しかし、後者の戦略は、有害な副作用が発現するために進展していない。
今回、Xiaodong Wangたちは、Smac模倣分子と相乗的にDR5を活性化させる低分子の化学的スクリーニング法を発表している。このスクリーニング法で発見されたDR5活性化物質「bioymifi」は、単独またはSmac模倣分子との併用で、選択的ながん細胞死を誘発する。これにより研究チームは、bioymifiががん細胞のDR5を直接活性化させる新たな戦略を代表するものであり、がんの新しい治療法につながる可能性を有すると結論付けている。
doi: 10.1038/nchembio.1153
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