注目の論文
より安全な新しいアポトーシス誘導抗がん剤
Nature Medicine
2013年1月7日
A new, safer pro-apoptotic cancer drug
現在使われている抗がん剤にみられる副作用を抑えることが予想される新規抗がん剤が開発され、試験が行われた。この研究は、がん細胞が持つ生存促進機構を標的とする薬剤の適用範囲を広げるのにも役立ちそうだ。BCLファミリーのタンパク質で、細胞の生存を促進するものの阻害は有望な抗がん戦略の1つとされている。しかし、BCLファミリーのタンパク質は互いによく似ているために、特定のタンパク質を標的とする薬剤の開発は困難だった。今のところ、薬剤設計戦略の標的は、重要な生存促進性因子で、多くのがんで発現が増大しているBCL-2だが、臨床試験が行われたリード化合物はBCL-2とよく似たBCL-XLも阻害してしまう。BCL-XLは血小板の生存に必要とされ、そのために血中の血小板が減少する血小板減少症が、この薬の投与を受けた患者での用量制限有害副作用となっている。A Souersたちは、既存の抗BCL薬に変更を加えて、BCL-2に対する特異性はより高いが、BCL-XLに対する親和性が低下しており、そのために血小板に対する毒性が低い化合物を作出した。この化合物は、複数のin vivo腫瘍モデルで有効性を示し、難治性白血病の患者3人では副作用の低減がみられ、有望な活性と安全性プロファイルが明らかになった。この結果は、アポトーシス誘導療法のこれからの改良を助けると考えられる。
doi: 10.1038/nm.3048
注目の論文
-
11月21日
化学:光を使って永遠の化学物質を分解する新しい方法Nature
-
10月24日
古生物学:古代サンゴから共生関係の初期の証拠を発見Nature
-
8月15日
考古学:ストーンヘンジの祭壇石はスコットランドを起源としているかもしれないNature
-
8月13日
化学:廃水を浄化しながらアンモニアを作るNature Catalysis
-
8月8日
気候変動:グレートバリアリーフの記録的な気温Nature
-
7月11日
古代ゲノミクス:疫病に襲われた新石器時代の農民たちNature