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金に打ち勝つ

Nature Chemical Biology

2013年2月4日

Striking gold

Nature Chemical Biology

金イオンを金粒子に変える天然物を発見したという論文が、オンライン版で発表される。その研究は、このたくましい細菌が独特の環境ニッチで生存し、新たな金粒子形成法を提供するものであることを示している。

Delftia acidovoransは金塊の内部で生きることが知られているが、この細菌が金による毒性からどのようにして逃れているのかは明らかにされていない。Nathan Magarveyたちは、その細菌の細胞が分泌する分子が金イオンを集め、毒性を持たない金の大きな凝集体を形成する能力を有することを発見した。バイオインフォマティクス解析に続いて天然物の分離を行うことにより、活性分子としてペプチド様のデルフチバクチンAが同定された。

Magarveyたちは、この物質が従来のシデロフォア(鉄と結合する分子群)と類似していることを明らかにし、実際にin vitro実験で鉄と結合することを示した。しかし、その細菌が生きる独特の環境的位置も考慮すると、金イオンとの反応でこの分子が発揮する新たな機能は、この生物種が自然界で金の毒性を排除するために一般的な分子を利用するようになったことを裏付ける刺激的な証拠を示している。

doi: 10.1038/nchembio.1179

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