注目の論文

ペプチドのリサイクル

Nature Chemical Biology

2008年11月17日

Peptide recycling

生物医学的に重要な酵素の新しい標的を発見したという論文が、Nature Chemical Biology(電子版)に掲載される。この研究は、腎臓内のアミノ酸回収経路に関する洞察をもたらすものである。

ジペプチジルペプチダーゼ4(DPP4)は大量に存在する酵素で、末端付近に特定のアミノ酸をもつタンパク質を切断する。先頃、既知のDPP4の生理学的標識の1つが同定されたことは、この酵素を標的とする糖尿病の薬物療法につながった。この重要な酵素の基質は実験で複数同定されているが、生理学的にその結果を確認する研究はほとんど行われていない。DPP4による治療のリスクとメリットを十分に理解するには、影響が及ぶ可能性のある他の経路を明らかにすることが重要である。

A Saghatelianたちは、DPP4活性が一定でないマウスの腎臓のタンパク質プロファイルを解析し、この酵素の新しい基質を複数同定した。また、DPP4がアミノペプチダーゼという別の酵素と協働して腎臓内のタンパク質を処理することを確認した。生ずるペプチドが腎臓内で特別な生理学的機能をもっているのかどうか、単に生成後に再吸収されて体内で再利用されるだけなのかどうかは、いまだ明らかにされていない。

doi: 10.1038/nchembio.126

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