注目の論文

HIVは糖ですり抜ける

Nature Chemical Biology

2009年2月23日

HIV sweetly slips by

Nature Chemical Biology

HIVの表面の糖は正常な生体複合体と外見が類似していることがわかった。この研究成果は、HIVがヒトの免疫系をかいくぐる仕組みの解明に寄与するものであるとともに、抗HIV薬に新たな可能性をもたらすことも考えられる。

HIVは細胞内で複製されるが、別の細胞に侵入するには細胞外を移動しなければならない。この過程で、ウイルスは細胞膜の一部に包まれ、脂質、タンパク質、および糖の複雑な混合物に覆われる。ウイルスが細胞外に出る経路は確認されていなかったが、機能が不明な天然の粒子である微小胞と同じ経路をHIVが利用していることを示唆する証拠は存在する。

L Mahalたちは、HIVの外面とそれが由来する細胞の微小胞とでは、別の細胞に由来するHIV試料と比較して、糖の同一性が高いことを明らかにした。これは、提唱されている排出経路に関する重要な補強材料である。また、AIDSの原因ウイルスと宿主本来の複合体とが酷似していることは、この有害なウイルスを免疫系が効果的に認識および破壊することができない理由に関して重要な手がかりを与えるものと考えられる。

doi: 10.1038/nchembio.151

英語の原文

注目の論文

「注目の論文」一覧へ戻る

advertisement
プライバシーマーク制度