注目の論文
RNAで活性化
Nature Chemical Biology
2009年5月4日
Energized by RNA
RNAの一種を用いて天然物を産生する新種の酵素が発見された。転移RNA(tRNA)は伸長中のアミノ酸の鎖にアミノ酸を付け加えていくもので、その鎖がタンパク質となる。しかし今回の研究では、J-L Pernodetたちが、二次代謝にかかわるtRNAを紹介しており、この主要な生体分子の機能が広がることになった。
特定のアミノ酸の組み合わせによって形成された小さな環を含む天然物は数多く存在するが、そうした環が生成する仕組みはこれまで不明であった。今回、研究チームは、その種の分子を生み出す酵素群を同定した。その酵素は、反応の進行に必要なエネルギーを得るのに生体のエネルギー通貨であるATPを利用する方法を有していないという点で独特なものである。研究チームは、この酵素が、RNAと結合して「高エネルギー状態」となったアミノ酸をもつ活性化tRNAを利用して反応を完結させていることを示すことにより、その謎を解明した。この研究成果により、tRNAの機能に関する我々の理解は広がり、全く新しい生合成経路が確認された。
doi: 10.1038/nchembio.175
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