注目の論文

キノコの謎が解明された

Nature Chemical Biology

2009年5月25日

A mushroom mystery solved

Nature Chemical Biology

数名の死者を出した最近のキノコ中毒の原因物質が、単純な小分子であることが明らかにされた。この中毒に特有の毒物はこれまで知られていなかったが、Nature Chemical Biology(電子版)に発表される知見により、その分子が致死性を示す機序を明らかにするための生物学的実験が可能になると考えられる。

この致死的な分子を突き止めるため、橋本貴美子たちは、どの種のキノコが有害な反応を引き起こすのかを最初に見極めた。続いて活性分子を単離し、それが炭素原子をわずか4個しかもたない小分子「シクロプロプ-2-エンカルボン酸」であることを発見した。この物質は、合成化学の研究でこそ利用されてきたものの、生物系で発見されたことはなかった。しかし、マウスを用いた生物学的試験により、「横紋筋融解」という骨格筋組織の急速な破壊を示唆する重度の生物学的症状を生ずるものであることが確認された。

doi: 10.1038/nchembio.179

英語の原文

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