注目の論文
始まる前にDNA合成をストップ
Nature Chemical Biology
2008年5月12日
Stopping DNA synthesis before it starts
Nature Chemical Biology(電子版)に掲載される論文によると、Cdc7キナーゼを阻害する小分子がDNA合成を妨げ、抗腫瘍活性を示すという。この発見は、現在臨床で使用されている同種の抗がん剤よりも毒性の低い腫瘍治療法を開発するのに役立つだろう。
がん細胞の1つの特徴は、細胞分裂が制御不能なことだ。広く使われている(かつ、高毒性の)多くの抗がん剤は、DNA複製の後期段階を阻害することで作用する。Cdc7はDNA複製のごく初期に働き、「複製の起点」に集合するタンパク質群を活性化することによりDNA合成を開始させる。
DNA合成開始の阻害がより効果的でより毒性の低い化学療法につながるかどうかを調べるため、C SantocanaleらはCdc7の強力な阻害剤を同定した。マウスの研究では、阻害剤により比較的低レベルの毒性で腫瘍サイズが減少し、Cdc7が抗がん標的として適切であることが示された。この新しい阻害剤は、細胞分裂とがんにおけるCdc7の役割を研究する際にも重要になるだろう。
doi: 10.1038/nchembio.90
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