注目の論文
8億、そしてさらに大きく
Nature Chemical Biology
2009年8月3日
800 million and counting
1つひとつが特異的なDNAバーコードをもつ8億個の化合物群を利用して新しい酵素阻害剤を同定した、という論文が、Nature Chemical Biology(電子版)に発表される。
化合物を小さなDNA断片と結合させる方法は、分子生物学と化学合成の威力を組み合わせて薬物候補物質を同定するという魅力的なものである。しかし、「DNAコード化」化合物を作り出すこの方法は、比較的小規模な化合物群に限定されるのが一般的であった。
B Morganたちは、一本鎖ではなく二本鎖のDNAを利用したDNAコード化化合物ライブラリーを作る新しい方法を開発した。研究チームが合成した化合物ライブラリーの規模は、従来のDNAコード化ライブラリーのほぼ10倍であり、通常のライブラリーと比較すると約5桁も大きい。概して、従来の研究で同定された化合物は、標的に結合するものであって、必ずしもそれを阻害するものとは限らなかったが、今回のライブラリーでは、キナーゼ酵素に極めて有効な新しい阻害剤が同定された。
製薬企業で一般的に利用されている高処理能スクリーニングライブラリーをしのぐ規模のライブラリーを作り出したことにより、この方法は、薬物リード化合物の探索に、これまで以上に効果的な新しい手段を提供する。
doi: 10.1038/nchembio.211
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