注目の論文
新しいシグナル伝達経路
Nature Chemical Biology
2009年8月24日
A new signalling pathway
細胞の新しいシグナル伝達経路が、Nature Chemical Biology(電子版)で発表される。その論文は、最大の薬物群が生体内の細胞を標的とする仕組みの解明に大きな影響を及ぼすと考えられる。
Gタンパク質共役受容体(GPCR)は、細胞膜に存在する一群のタンパク質であり、細胞の内外にまたがる情報伝達の多くを担っている。この受容体は、細胞表面でのみ活性をもち、細胞内に入るのは分解されて新しいGPCRで置き換えられる場合に限られると考えられていた。
今回、Jean-Pierre Vilardagaたちは、あるGPCRのシグナル伝達(副甲状腺ホルモン)がそのタンパク質の細胞内進入後にも続く場合があることを明らかにした。そのGPCRは、あるリガンド「副甲状腺ホルモン」が結合すると、細胞内からもシグナルを送り続け、全体としてシグナルが長く持続するようになっている。この働きは、別のリガンド「副甲状腺ホルモン関連ペプチド」が結合した場合には認められない。
GPCRシグナル伝達が示すこの意外なふるまいは、細胞のシグナル伝達についての考え方に変化を迫るものと考えられ、この重要な受容体を標的とする薬物の研究法に影響を及ぼす可能性がある。
doi: 10.1038/nchembio.206
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