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吸入されたカーボンナノチューブは肺粘膜に到達する

Nature Nanotechnology

2009年10月26日

Inhaled carbon nanotubes reach the lung lining

Nature Nanotechnology

マウスが吸入した多層カーボンナノチューブ(長い同心状多層グラファイトチューブ)は肺の外膜に到達し、特有の病理学的変化を引き起こすことが、Nature Nanotechnology(電子版)に報告される。この研究は、今後の肺応答の長期評価が行われるまでは、ナノチューブを取り扱う際、吸入を最小限にする必要があることを示唆している。

過去に、マウスの腹腔内に取り込まれた多層カーボンナノチューブが、アスベストのような病原的性質を示すことが明らかになった。この研究をもとに、J Bonnerらは、高濃度または低濃度の多層カーボンナノチューブをマウスに単回吸入させ、1日、2週間、6週間、および14週間後の肺組織を調べた。吸入されたナノチューブは、特殊な白血球によって取り込まれ、肺壁の外膜まで移動し、肺組織の瘢痕化を起こす。このような結果は、少量のナノチューブやカーボンブラックナノ粒子(長いチューブ状ではなく微小な粒子状のグラファイト)を吸入したマウスではみられなかった。

今回の吸入研究はナノチューブの毒性確認に関連しているが、観察された病理学的変化はこの特殊なタイプのナノチューブに特有のものである可能性があり、反復暴露により持続するものであるかどうかは不明である。それでも、ナノチューブが肺の外膜に到達しうるという事実から、ナノチューブの取り扱い方をもっとよく理解する必要があるといえる。

doi: 10.1038/nnano.2009.305

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