注目の論文
ビタミンB6生合成の中間段階を「見る」方法
Nature Chemical Biology
2008年5月31日
Vitamins on the move
標準的な生化学的方法の効能を著しく高めることで、酵素触媒反応の意外な一段階が発見されたことを報告する論文が、Nature Chemical Biology(電子版)に掲載される。この研究の進展は、酵素作用や薬物設計の解明にとって重要な意味をもつことになるだろう。
酵素(触媒タンパク質)は、特定の化学反応が非常に速く発生するように微調整されている。このことは、一般的に、触媒反応の各段階で起こっていることを「観察する」のが難しいこと、あるいは不可能なことを意味している。酵素自体が非常に大きい場合には、そのことで、使用可能な手法の範囲が制約されてしまうのが通常であるため、こうした「中間体」化学物質を観察するのは特に難しい。
今回、T Begleyらは、非常に大きな酵素Pdx1を阻害することによって、ビタミンB6の活性型の生合成における3種類の中間体の構造を決定した。これにより、タンパク質の1つの原子と結合できなくなった化学物質が別の原子を使って再結合する、という変わった反応段階の観察が可能になった。この方法を大型タンパク質に拡大適用することは、他の生合成経路の解明、そして薬物がこうした過程を変化させることが可能かどうか、あるいはどのように変化させるのか、といった点を明らかにするための新たな道となるだろう。
doi: 10.1038/nchembio.93
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