注目の論文
細胞へのエネルギー供給を止める天然物を合成する
Nature Chemical Biology
2008年5月31日
Synthesis shuts down power
細胞の成長を止める2種類の天然物が発見され、その論文がNature Chemical Biology(電子版)に掲載される。今回の発見は、この化合物を化学療法薬に応用する研究に対して、大きな意味をもつことになるだろう。
数多くの天然物は、薬物として、あるいは特定の生物システムの働きを解明する上で役立つ可能性を秘めているが、天然物が「何をするのか」、すなわち、どのような分子と結合するのか、それによって何が起こるのか、という点を解明するのは難しい。多くの場合、必要とされる結合試験を行うために十分な量の天然物を入手することが難しいために、より難度の高い課題となっている。
このほどS Kozminらは、ネオペルトリドとロイカスカンドロライドA(leucascandrolide A)の簡易同族体という2種類の天然物を合成する方法を開発した。十分な量の材料を得たKozminらは、これらの天然物がシトクロムbc1複合体と結合することを見出した。シトクロムbc1複合体は、ATPを産生し、他の細胞にエネルギーを提供する機構の重要な構成要素である。今回の発見で、この2種類の天然物の作用に関する重要な情報がもたらされたが、これにより化学療法用化合物の開発に道が開かれることになるだろう。
doi: 10.1038/nchembio.94
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