注目の論文
【材料科学】パルプ繊維が紙を作り上げる機構
Scientific Reports
2013年8月22日
Materials science: Pulp fiction - and facts
原子間力顕微鏡技術によって、紙を作り上げている機構に関する新たな知見が得られた。この研究結果は、包装用紙の強度の向上と製紙工程への原料とエネルギーの投入量の削減に役立つように利用できる可能性がある。
紙は、数世紀にわたって使われてきた汎用性の高い材料で、情報の交換や物品の保護・保管が主な使用目的になっている。タブレット型コンピューターや電子書籍の登場で、情報交換のための紙の重要性は低下するかもしれないが、自然で分解可能な包装用紙としての役割は、今後も高まる可能性が高い。さまざまな結合形態、そして、微小圧縮やキャピラリーブリッジは、いずれもパルプ繊維間の結合に寄与していると考えられているが、どれが支配的な機構なのかはわかっていない。
今回、Christian Teichertたちは、原子間力顕微鏡を用いて、個々のパルプ繊維間の結合の機械的特性をナノスケールで調べて、結合した2本の紙繊維の破断荷重を分析した。この研究では、1つの繊維間結合に対して、校正済みのカンチレバーを静的、動的に接触させて、結合が破断するまで続けた。その結果、繊維間の架橋因子として作用する微細な繊維(「フィブリル」あるいは「フィブリルバンドル」と呼ばれる)が繊維間結合に非常に重要な役割を果たすことが明らかになった。高度に精製されたパルプの場合には、この機械的かみ合わせ機構によって、結合エネルギーが倍増する。
doi: 10.1038/srep02432
注目の論文
-
11月21日
化学:光を使って永遠の化学物質を分解する新しい方法Nature
-
10月24日
古生物学:古代サンゴから共生関係の初期の証拠を発見Nature
-
8月15日
考古学:ストーンヘンジの祭壇石はスコットランドを起源としているかもしれないNature
-
8月13日
化学:廃水を浄化しながらアンモニアを作るNature Catalysis
-
8月8日
気候変動:グレートバリアリーフの記録的な気温Nature
-
7月11日
古代ゲノミクス:疫病に襲われた新石器時代の農民たちNature