注目の論文
生物学的カスケードのラフティング
Nature Chemical Biology
2008年7月21日
Rafting down biological cascades
生細胞の膜ラフトの存在を示す新たな証拠が発見され、細胞膜の構成に新たな洞察がもたらされた。
膜ラフトは、脂質およびタンパク質が特有の様式で配置された細胞膜のごく小さな領域であり、特定のタンパク質をはじめとする細胞膜上の生体分子の局在化に重要なものと考えられている。しかし、膜の探索に用いられる技術の多くは膜の正常な構成を破壊する可能性もあるため、膜ラフトの存在に関しては異論もあった。
H-T Heたちは、新開発の蛍光技術を利用して細胞膜を研究している。この研究では、ラフトの形成に「スフィンゴ脂質」という脂質とコレステロールの動的な会合が必要であり、下流の生物学的シグナル伝達に対してラフトが特異的な影響を与えていることが見いだされた。
今回の観察からは、膜上で受動的に浮遊していると考えられていたタンパク質がラフトの形成を左右している可能性も示唆された。このように、今回の研究ではラフトの重要性が確認された一方、現在のラフト形成モデルに修正が必要である可能性も示された。
doi: 10.1038/nchembio.103
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