注目の論文

【化学】新しい爆発物識別法

Nature Communications

2014年6月25日

Chemical Sciences: A means of fingerprinting explosives

爆発物を微量でも検出できるとともに爆発物の性質に関する情報が得られる方法が実証された。その詳細を報告する論文が、今週掲載される。

爆発物検知装置は、少数の爆発性物質にしか使えないことが多いが、潜在的脅威となる爆発物は幅広く存在している。また、爆発性の化学物質を少量でも検出できる性能も非常に重要だ。多くの爆発物は揮発性が低いため、空気中に存在する爆発物は微量にとどまるからだ。

今回、Fernando Patolskyたちが考案したセンサーシステムは、2種以上の爆発物に特異性を示すことが実証された。爆発物とセンサーの相互作用は、爆発物の種類によって少しずつ異なっており、Patolskyたちは、このパターンの違いを利用して、それぞれの爆発物に固有の特徴を同定した。このように特徴が同定された爆発物は、今後、容易に識別できるようになり、TNTやその他の一般的な爆発物は、1000兆分の1の濃度レベルから検出、識別が可能となる。

今回考案された方法によるもう1つの進歩は、過酸化物系の爆発物を検出できる点だ。過酸化物系爆発物は、家庭用品をもとにして簡単に作れ、高感度に検出することが難しいため、保安上の懸念が生じている。Patolskyたちの手法を使えば、過酸化物系爆発物を検出でき、害の少ない近縁の化学物質と区別できる。

doi: 10.1038/ncomms5195

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