米国の廃棄物処分場からのメタン放出と気候政策
Nature Climate Change
2015年9月22日
Trash-talking US climate policy
2012年に米国内で埋め立て処分された廃棄物の量が2億6200万トンであり、米国環境保護庁が発表した推定値が1億4000万トンもの過小評価であったことを明らかにした論文が、今週のオンライン版に掲載される。今回の研究は、埋め立て処分によるメタン排出量がこれまでの推定値を上回っている可能性も示唆している。
埋立処分場からは、特に強力な温室効果ガスであるメタンが大量に放出される。メタンを捕集し、燃焼させることで、処分場からのメタン放出を減らすことは、気候変動政策の重要な一部となっている。
今回、Jon Powellたちは、米国全土の1,200カ所の施設から報告された廃棄物処分量と運用データを解析した。その結果、2012年に全施設で合わせて2億6200万トンの廃棄物が処分され、米国環境保護庁による推計値を約1億4000万トン上回っていたことが分かった。また、2010~2013年に廃棄物処分量が1年で平均0.3%増加したことも明らかになった。
こうした廃棄物の大部分は、新規の廃棄物を積極的に受け入れている開放型埋立処分場で最終処分されており、これが埋立処分場からのメタン排出量の約91%を占めている。また、メタンの捕集効率は、閉鎖型埋立処分場の方が開放型埋立処分場より17ポイント高く、開放型埋立処分場が気候に与える影響がさらに明確になった。
今回の研究結果は、政府が開放型埋立処分場でのメタン排出量の削減に政策の的を絞る必要性を示唆している。さらに、Powellたちは、今回の研究が、現在の廃棄物処分データ収集方法の限界を明確に示し、政策によってメタン排出量を削減し、気候変動に取り組む上で重要な意味を持っていると主張している。
doi: 10.1038/nclimate2804
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