注目の論文

急激な気候変化の時機

Nature Geoscience

2008年8月2日

Timing rapid climate change

12,700年前の西ヨーロッパで短い寒冷期であった新ドリアス期の始まりは1年の経過で起きた、とNature Geoscience(電子版)に掲載される研究が報告している。その研究によれば、寒冷で荒れた気象条件は、ヨーロッパ全体の大気循環が急激に変化した結果であったらしい。

A Brauerらは、ドイツの火口湖で得られたバーブ堆積層を研究した。おのおののバーブは単一の年を記録した年層となっており、火口湖周辺地域の年間の気候記録を再現することを可能としている。研究チームは、ある年から次の年へ堆積層中の鉄鉱物の累層が突然止まっているところがあることを発見した。彼らは、これをヨーロッパ全体の風の強さと暴風が増加したことと関連づけた。

今日、西からの風は比較的暖かく湿度の高い空気を運び、西ヨーロッパを加熱している。研究者たちは、新ドリアス期には、西からの風は代わりに北から冷たい空気をもたらして大陸を凍結させたと結論づけている。

doi: 10.1038/ngeo263

「注目の論文」一覧へ戻る

プライバシーマーク制度