注目の論文
【気候科学】ニュージーランドでの氷河の成長は人為的気候変動と矛盾していなかった
Nature Communications
2017年2月15日
Climate science: Glacier growth consistent with man-made climate change
ニュージーランドでの氷河の前進が同地域での異常低温の継続によって引き起こされたことを明らかにした論文が、今週掲載される。この気候変動の連鎖とニュージーランドの氷河に及ぼした影響は、全球スケールで見ると異常な現象といえるが、人間によって変えられつつある気候システムと矛盾するものではなかった。
過去30年間は、記録を取り始めてから最も温暖な期間であり、前例のない全球的な氷量減少があったが、このような温暖化条件下でも一部の氷河は成長していた。つまり、1983~2008年にニュージーランドで少なくとも58の氷河が前進していた。ただし、氷河が成長した原因は分かっていない。
今回、Andrew Mackintoshの研究チームは、氷河の成長や融解に影響を及ぼすさまざまな要因の役割を評価する地域スケールのエネルギー収支モデルを用いて、ニュージーランドの氷河の異常な挙動の原因を調べた。Mackintoshは、降水量の増加を原因に掲げる有力説が今回の解析によって裏付けられず、むしろニュージーランド地域での南風の頻度を高めた大規模大気波動の影響によるタスマン海とサザン・アルプス山脈での寒冷化が主な原因だったことを明らかにした。また、人為起源の温暖化を含めるモデルシミュレーションと含めないモデルシミュレーションの比較も行われ、1980~2005年のサザン・アルプス山脈の氷河氷の変化が人為的気候変動を一部反映していることが示唆されている。
doi: 10.1038/ncomms14202
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