注目の論文

【天文学】古典新星爆発の前駆天体

Nature

2017年8月31日

Astronomy: The source of a shining light from the past

西暦1437年に起こった古典新星爆発については、当時の天文学者による記録が残っているが、このほど、この新星爆発の原因だった連星系が特定された。この研究結果を報告する論文が、今週掲載される。

古典新星は、白色矮星からの明るく輝く爆発であり、連星系における白色矮星の伴星が発する水素ガスの蓄積から起こる熱核反応の暴走がエネルギー源になっている。遠い過去の新星の中で、その位置が最も正確に記録されているのが西暦1437年3月11日に爆発した新星(さそり座1437年新星)で、韓国の宮廷科学者による記録が残っている。この新星は、さそり座の尾部にあり、消滅までの14日間にわたって観測されたが、この点は、急速に光度が減少する古典新星と一致している。

今回、Michael Sharaたちの研究グループは、過去の観測結果を用いて、この新星の原因となった連星系を突き止め、それが現在は小規模で光度の低い矮新星爆発を起こしていることを明らかにした。Sharaたちは、古典新星爆発と矮新星爆発を起こした連星系が実は同じ連星系であり、観測時期が異なっていたという見方を示している。

同時掲載のSteven ShoreのNews & Views論文では、「さそり座1437年新星に関連した激変星が同定されたことは、歴史研究の素晴らしい成果だ」と述べられている。

doi: 10.1038/nature23644

「注目の論文」一覧へ戻る

プライバシーマーク制度