注目の論文

【生物多様性】森林の林縁に生息する動物種の個体数減少傾向

Nature

2017年11月2日

Biodiversity: Life on the edge

人為起源の森林分断化が森林の林縁部に生息する脊椎動物種の個体数に全球的な影響を及ぼしていることが判明した。この新知見からは政策への示唆が得られる可能性があり、大規模な森林の減少と分断化に応答して生物多様性がどのように変化する可能性が高いのかを予測する際に役立つかもしれないと考えられている。この研究成果を明らかにした論文が、今週掲載される。

全世界の森林で現在も続いている分断化は、生物多様性に対して(森林中心部における生息地の減少による)直接的な影響と(林縁部の創出による)間接的な影響を及ぼしている。現在、全世界の森林の約半分が林縁から500メートル以内に位置している。今回、Marion Pfeiferたちの研究グループは、全世界の哺乳類と鳥類、爬虫類、両生類(合計1673種)の個体数に対する人為起源の森林分断化の影響を評価し、脊椎動物種全体の85%が林縁の影響を受けていることを明らかにした。この結果からは、林縁付近で生息し続ける動物群集が森林中心部に生息する動物群集とほとんど似ておらず、全世界の森林の半分において脊椎動物群集が破壊されていることが判明した。特に、鳥類の11%、爬虫類の30%、両生類の41%、哺乳類の57%の個体数は、林縁の近くで大きく減っていることも明らかになった。

Pfeiferたちは、分断化された景観全体にわたる生息環境の質の連続的変化を説明する新しい方法を用いている。そのためPfeiferたちの分析結果は、これまでに実施された土地利用の変化に対する生物多様性の応答の全球的分析結果とは著しく異なっている。これまでの分析では、こうした段階的な変化が組み込まれていなかったのだ。

doi: 10.1038/nature24457

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