注目の論文
【保全】水鳥の多様性に対するガバナンスの影響
Nature
2017年12月21日
Conservation: How governance affects waterbird diversity
全世界の水鳥個体群の保全を成功させるうえで効果的なガバナンスが非常に重要なことを示唆する論文が、今週掲載される。この知見は、保全の政策と実践の両面に重要な意味を持つことは明白だ。
湿地は、地球上で生物多様性が最も高く、生産力が最も大きい生態系だが、存在が最も脅かされている生態系の1つでもある。今回、天野達也(あまの・たつや)たちの研究グループは、全世界の25,000以上の観察地点における461種の観察データを使って1990~2013年における湿地の水鳥種の個体数の変動とそうした変動の駆動要因を解明した。その結果、個体数の変動の最も強力な予測因子がガバナンスであることが明らかになった。水鳥の個体数は、西アジア、中央アジア、サハラ以南のアフリカと南米のようにガバナンスの有効性が相対的に低い地域で減少してきている。保護区は、水鳥の個体数増加を促進する効果があるが、実際に個体数が増加しているのは強力なガバナンスが行われている地域に限られている。
全世界で保護区の面積は拡大し続けているが、効果的でないガバナンスによって現在の保全活動が損なわれるおそれがある、と天野たちは警告している。保全に関する決定を行う際には効果的なガバナンスのレベルを考慮に入れる必要があり、国際環境ガバナンスに関する認識を測定し、監視し、向上させ、高める必要がある。
doi: 10.1038/nature25139
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