注目の論文
【環境】海氷によって北極海に運ばれるマイクロプラスチック
Nature Communications
2018年4月25日
Environment: Sea ice transports microplastics across the Arctic
大量のマイクロプラスチックが海氷に捕捉され、北極海全域に運ばれていることを報告する論文が、今週掲載される。この新知見は、海氷がマイクロプラスチックの一時的な貯蔵庫として働いていることを実証し、気候変動によって海氷の融解が進むと大量のマイクロプラスチックが海洋に放出される可能性があることを裏付けている。
今回、Ilka Peekenたちの研究グループは、氷床コアに含まれるマイクロプラスチック(5ミリメートル未満のプラスチック)の組成と海氷の漂流軌跡を分析し、海氷成長モデルを用いて、海氷の成長過程でマイクロプラスチックが海氷に捕捉された海域を同定した。海氷に捕捉されたマイクロプラスチックのポリマー組成は、氷床コアによって異なっていることが判明し、海氷の起源水域ごとに独自のポリマー組成が同定された。また、Peekenたちは、今回の研究で用いられた海氷試料の起源がアメラジアン海盆とユーラシア海盆にあり、その大部分が、主要な北極海流の1つである北極横断流によって北極海中央部を運ばれてきたことを実証した。
Peekenたちは、北極海中央部におけるマイクロプラスチックの分布がこれまで考えられていた以上に複雑であり、海氷が融解してマイクロプラスチックが放出されると、それらは北極海の表層から深層まで全体にわたって分布する可能性があると主張している。
doi: 10.1038/s41467-018-03825-5
注目の論文
-
2月19日
生態学:深海の生態系を調査するNature Communications
-
2月13日
動物の行動:カメは磁気地図が食べ物に導くと踊るNature
-
2月11日
地球科学:地球の内核の変化を検出Nature Geoscience
-
2月11日
気候変動:2024年の気温がパリ協定の目標に与える影響の評価Nature Climate Change
-
2月6日
遺伝学:古代のゲノムがヤムナ文化の起源の手がかりとなるNature
-
2月5日
惑星科学:月のグランドキャニオンの形成Nature Communications