注目の論文
【気候科学】世界の沿岸部は従来の推定よりも海面上昇に対して脆弱になっている
Nature Communications
2019年10月30日
Climate science: Coasts more vulnerable to sea-level rise than previously thought
世界の海岸線で、海面上昇と沿岸洪水に対する脆弱性が、従来の推定の3倍に達していることを示唆するモデル研究について報告する論文が掲載される。
今回、Scott KulpとBenjamin Straussは、新しい数値標高モデル(CoastalDEM)を用いて、地球上で極端に高い水位の沿岸海域の影響を受ける人口の評価を行った。CoastalDEMは、従前のモデルの垂直バイアスを低減するために役立つニューラルネットワークを使用しており、全世界で現在の満潮線より低い陸地に合計1億1000万人が居住し、現在の洪水位より低い陸地に2億5000万人が居住していると推定している。この推定結果は、それぞれを2800万人と6500万人とした先行研究による推定人口とは対照的だ。
Kulpたちは、CoastalDEMを用いて、2020年までに温室効果ガス排出量がピークに達する低炭素排出シナリオでは、2100年の時点で予想海面水位より低い陸地に1億9000万人が居住し、温室効果ガスの排出量が21世紀を通じて増加する高排出シナリオでは、2100年の時点で予想洪水位より低い陸地に最大6億3000万人が居住するという見解を示している。現在は、満潮線からの高さが10m未満の陸地に10億人が居住し、洪水位からの高さが1m未満の陸地に2億5000万人が居住しているとKulpたちは推定している。
doi: 10.1038/s41467-019-12808-z
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