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惑星科学:金星の雲で検出されたホスフィン

Nature Astronomy

2020年9月15日

Planetary science: Phosphine detected in the clouds of Venus

Nature Astronomy

気体のホスフィン(PH3)が金星の大気中に検出されたことを報告する論文が、今週、Nature Astronomy に掲載される。この知見は、金星が未知の光化学的過程や地球化学的過程を有する可能性を示唆している。

ホスフィンは、地球上では気体であり、主に嫌気性生物によって生成される。金星表面の状況は生命に適さないが、表面からおよそ53~62キロメートル上空にある上部雲層の環境は温暖である。ただし、雲の組成は強い酸性で、ホスフィンはそのような状況ではすぐに分解される。

Jane Greavesたちの研究チームは、2017年にジェームズ・クラーク・マクスウェル望遠鏡で、2019年にアタカマ大型ミリ波サブミリ波干渉計で、金星を観測した。彼らはホスフィンに特有なスペクトルの特徴を検出し、金星の雲におけるホスフィンの存在度が20 ppbであると推定した。Greavesたちは、ホスフィンの考えられる生成源として惑星表面、微小隕石、雷、雲の内部で生じる化学過程などのさまざまな方法を検討したが、最終的に微量なホスフィンの生成源を特定することはできなかった。

Greavesたちは、ホスフィンの検出は微生物の存在の確実な証拠ではないが、金星で起こっている未知の地質学的過程や化学的過程の可能性を示していると主張している。金星大気におけるホスフィンの起源の探査には、さらなる観測とモデル化が必要である。

doi: 10.1038/s41550-020-1174-4

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