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地球科学:初期地球で生命を生み出した閃光

Nature Communications

2021年3月17日

Earth science: The spark of life on early Earth

Nature Communications

初期地球の最初の生命を支えるための生体内で利用可能なリンは、落雷によって十分な量供給されていた可能性があることを示唆する論文が、Nature Communications に掲載される。この知見は、これまで認識されていなかった初期地球上の必須栄養素の供給源を示唆している。

地球上に生命が出現するためには、重要な成分の正確な配合が必要だった。そうした成分の1つが生体内で利用可能な反応性リンで、これは、DNAやRNA、細胞膜脂質の重要な構成要素である。初期の地球上では、大部分の反応性リンが不溶性の鉱物に閉じ込められていた。例外としてシュライバーサイトという鉱物は、反応性が非常に高く、有機分子を形成できるリンを生成すると考えられている。しかし、シュライバーサイトの主な供給源は隕石であり、このため生物の出現は、地球外の岩石による衝突と結び付けて考えられてきた。

今回、Benjamin Hessたちの研究チームは、シュライバーサイトとそれに含まれるリンに別の供給源があると提起している。Hessたちは、一連の分光学的手法を用いて、特定の粘土質の土壌への落雷によって形成されたガラス質の鉱物中にシュライバーサイトがあることを発見した。1回の落雷で生成された可能性のあるシュライバーサイトの量と初期地球上の適切な陸地面積を推定することで、落雷によって年間110~1万1000キログラムのリンが生成された可能性があると算出された。この値は、幅は大きいが、最初の生命体の栄養源としては十分な量と考えられ、最終的には隕石の衝突によるリン生成量を上回る可能性がある。Hessたちは、初期地球の気候のモデルシミュレーション用いて、45億年前に月が形成されてからは隕石の衝突が減り始め、35億年前までには落雷数が隕石衝突数を、そして落雷によって供給されたリンの量が隕石衝突によって供給されたリンの量を上回ったと推定している。この時期は、地球で生命が誕生した時期と一致する。

doi: 10.1038/s41467-021-21849-2

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