惑星科学:系外惑星の組成はこれまで考えられていたよりも多様だった
Nature Communications
2021年11月3日
Planetary science: Exoplanet composition more varied than previously thought
太陽近傍の系外惑星の地質学的組成や鉱物組成は、これまで考えられていたよりも多様である可能性を示唆する論文がNature Communications に掲載される。今回の知見は、一部の系外惑星が独自の惑星降着経路と惑星分化経路を有していると考えられ、そうした惑星の組成は地球の組成と異なっており、同じ組成の惑星が太陽系に存在しないことを示している。
太陽のような主系列星がエネルギーを使い果たすと、最初は膨張して赤色巨星になり、その後、収縮して白色矮星に変化するが、その過程で、付近を周回する系外惑星を捕捉する。そのため、白色矮星は、惑星由来の岩石物質で汚染されることがある。このように汚染された白色矮星には、捕捉された系外惑星の大陸地殻のような花崗岩質地殻が微量含まれている可能性が先行研究によって指摘されていた。こうした花崗岩質地殻は、地球上にも豊富に存在する。しかし、これまでの研究では、岩型を評価するために不可欠な元素であるケイ素の分析が行われていない。
今回、Keith PutirkaとSiyi Xuは、太陽近傍の23個の白色矮星の大気を分析し、一部の白色矮星の大気にカルシウムが多く含まれていたが、すべての白色矮星の大気にはケイ素が非常に少なく、マグネシウムと鉄の量が多いことを明らかにし、これらの白色矮星を周回していた系外惑星のマントル組成が反映されているという考えを示している。また、汚染された白色矮星の組成と太陽系内の地球型惑星(地球を含む)の全体組成が比較されたが、花崗岩質地殻や地殻に似た岩石の証拠は見つからなかった。PutirkaとXuは、他の恒星系には、これまで考えられていたよりもはるかに多様な惑星組成や岩型が含まれている可能性があるという考えを示している。
PutirkaとXuは、以上の知見は、地球の組成が太陽近傍の惑星の組成と異なっているのはなぜなのか、そうした差異は典型的なものなのか、それとも必然なのかという疑問が生じていると結論付けている。
doi: 10.1038/s41467-021-26403-8
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