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環境:米国における大気汚染への曝露の格差

Nature

2022年1月13日

Environment: Disparities in air pollution exposure in the USA

Nature

米国では、白人とアメリカ先住民の人口が平均より多い地域の住民が曝露する微小粒子状大気汚染物質の平均レベルは、黒人、アジア人、ヒスパニックまたはラテン系の人口が平均より多い地域よりも常に低いことが明らかになった。また、低所得層が居住する地域は、高所得層が居住する地域よりも微小粒子状大気汚染物質への曝露が顕著なことも判明した。こうした研究知見を報告する論文が、今週、Nature に掲載される。

微小粒子汚染への曝露は、世界で第5位の死亡リスク因子だ。これまでの研究で、米国の民族的・人種的マイノリティー集団と社会経済的地位の低い人々は、微小粒子状大気汚染物質への曝露による死亡リスクが高いことが明らかになっている。

今回、Abdulrahman Jbaily、Francesca Dominiciたちの研究チームは、この一連の研究を前進させ、人口統計データと全米の微小粒子汚染に関するデータを関連付けるデータプラットフォームを開発した。今回の研究で、2000〜2016年の郵便番号地域レベルでデータを分析したところ、黒人、アジア系、ヒスパニックまたはラテン系の住民の人口が平均より多い地域は、白人とアメリカ先住民の人口が平均より多い地域よりも、住民が曝露する微小粒子状大気汚染物質の平均レベルが常に高いことがわかった。例えば、2016年は、黒人集団が曝露した微小粒子状物質の平均濃度は、白人集団よりも13.7%高く、アメリカ先住民集団よりも36.3%高かった。また、2004〜2016年には、低所得層地域は、高所得層地域よりも若干高い汚染物質レベルに常に曝されていた。さらに、米国環境保護庁と世界保健機関によって設定された安全基準(米国環境保護庁の定める上限値の方が高い)と比較した場合の曝露の相対的格差が、時間の経過とともに拡大していることも明らかになった。

Jbailyたちは、今後の研究によって、こうした格差の根底にある要因と将来の米国の大気環境基準がこれらの環境的不公正にどのように対処できるのかを探ることができるという見方を示している。

doi: 10.1038/s41586-021-04190-y

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