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地球科学:植物は全球の水の利用可能性を増大させる

Nature Geoscience

2022年11月1日

Earth science: Plants boost global water availability

Nature Geoscience

過去20年間に植生被覆が増大したことで、地下水の利用可能性が高まったが、その水文学的影響は、植生の変化を被っている地域を越えていることを報告する論文が、Nature Geoscienceに掲載される。

造林(木を植えること)、森林破壊、大気中の二酸化炭素の上昇による肥沃化効果などの複合的な要因によって、世界の多くの地域で植生被覆が近年大きく変化している。植物は、その蒸発散とその後の降雨による効果を通して、水循環に重要な役割を果たしている。

今回、Jiangpeng CuiとXu Lianたちは、大気の水蒸気量の追跡データと降水と葉面積指数(ある地域の葉の量を測る値)の観測結果を組み合わせることで、2001〜2018年の植生変化が、地表水の利用可能性にどのように影響を与えたかを示している。全球で見ると、近年の植生変化によって水の利用可能性がおよそ1年当たり0.26 mm増加したことが分かった。これは全球の淡水利用可能性の全体としての減少の15%と等価である。しかしながら、地域的なスケールでは、循環した水蒸気が周りに輸送されているので、その応答はさまざまである。著者たちは、ある場所における植生被覆が増加すると、水利用可能性にどのように影響するかを定量化する地図を作製した。植生が増加すると、北米中央部および東部、ヨーロッパ、中国東部など、全球の陸上表面の約45%で、地域的および風下における水の利用可能性が増加する。全球の陸上の34%(主に水が不足している地域)では、植生の増加によって地域的な水の利用可能性が減少するが、風下では正の効果がある。カナダ西部、チベット高原南部および北コンゴ盆地などの地域では、植生の増加によって、陸上表面の8%で、地域的および風下の水の利用可能性が減少する。

気候緩和戦略において、広範な植林は重要な役割を果たすと期待されるので、著者たちは、植生の変化が特に風下地域の水循環にどのように影響を与え得るかを理解し、将来の植林の戦略に反映させることが重要だと述べている。

doi: 10.1038/s41561-022-01061-7

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