【地球科学】最近の2度のニュージーランド地震の相互関係
Scientific Reports
2011年9月23日
Geoscience: Relationship between two recent New Zealand earthquakes
2010年9月と2011年2月にクライストチャーチ(ニュージーランド)付近で発生した2度の地震の相互関係を調べた研究論文がScientific Reportsに掲載される。この論文では、1回目の地震が、2回目の地震の発生した断層に応力を加えて、破壊に近い状態にすることで、2回目の地震発生の一因となったことが示唆されている。
2010年9月、クライストチャーチのおよそ48キロメートル西のダーフィールドで、マグニチュード7.1の地震が、それまで知られていなかったグリーンデール断層沿いに起こった。その後、2011年2月には、クライストチャーチ市の中心付近でマグニチュード6.3の地震が発生した。クーロン応力誘発説によれば、いったん地震が起こると、応力は散逸せずに、周辺地域に伝播し、その後の地震の発生率を高めるとされる。しかし、2010年9月の本震が応力の再分布を誘発して、それが2011年2月の地震の引き金になったのかどうかは明確になっていなかった。
今回S Stramondoたちは、合成開口レーダーを用いた差分インターフェロメトリィ(DInSAR)技術を用いて、この2つの地震の相互関係を解析した。その結果、2010年9月の地震による破壊で、応力値1バール超の応力が地殻の大きな部分に加わり、それが、2回目の地震発生を引き起こすために十分だったことが判明した。
2回目の地震は、2010年9月から2011年2月の間にグリーンデール断層とその周辺地域で記録された4,000回の余震の中で最大のものだった可能性を指摘する地震学者もいる。2回目の地震は、この指摘のように余震だったのか、それとも1回目の地震による応力の蓄積によって促進されて別の断層に沿って発生した本震だったのか。その解明には、さらなる研究が必要とされる。
doi: 10.1038/srep00098
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