環境:干ばつが夜通し燃え続ける山火事を引き起こす
Nature
2024年3月14日
Environment: Drought drives overnight burning of wildfires
北米で干ばつ状態になると、夜通し燃え続ける山火事の件数が増加する可能性が高いことを報告する論文が、Natureに掲載される。この結果は、山火事の管理と防止に重要な意味を持つ。
山火事は、夜間に入って気温が低下し、湿度が上昇すると、自然に進行が鈍化し、強度が低下するというのが、火事の日内サイクルに関する従来の理解だった。しかし近年の研究では、夜通し燃え続ける火事の頻度が高くなり、継続時間が長くなっていることが報告されており、環境の変化によって山火事が夜間という自然の障壁を突破し、夜間に火勢が強まる可能性があると懸念が生じている。ただし、こうした火事の深刻化の正確な理由は、まだ明らかになっていない。
今回、Kaiwei Luoらは、人工衛星観測データと地上での観測データを併用して、2017~2020年に北米で発生した2万3557件の火事を調査し、これらの火事の燃焼サイクルを分析して、夜通し燃え続けた事象(一晩中火事が継続した事例)を特定した。
その結果、340件の火事で夜通し燃え続けた事象が1095回発生したことが明らかになった。これらの事象のほとんどは大規模火災(1000ヘクタール以上)において特定され、大規模火災の20%で夜通し燃え続けた事象が1回以上発生していた。これらの事象は、発火から短期間(2日以内)で発生し、全事例の67%で2夜連続して検出されたことから、一晩燃焼すると高い頻度で二晩目の燃焼につながることが示唆された。注目すべきなのは、干ばつ状態に関連して火災の燃料となる極度に乾燥した物質が増えたことが、夜間の気温低下と湿度上昇の影響を突破して夜通し燃え続けるという事象を予測する上で最も重要な因子であることが分かったことだ。
干ばつ状態の存在は、次の夜に夜通し燃え続ける事象が発生するかを予測する因子となり、火事の早期発見と火災管理の改善を促進できる可能性がある。また、Luoらは、夜通し燃え続ける事象の発生につながる極端な気象現象がここ数十年間に増加していることを示し、気候と気象の変化が山火事の日内サイクルに及ぼす影響を理解することの重要性を強調している。
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シュプリンガー・ネイチャーは、国連の持続可能な開発目標と、学術論文誌や書籍に掲載されている関連情報や証拠の認知度を高めることに尽力しています。このプレスリリースに記載されている研究は、SDG 13(気候変動に具体的な対策を、Climate Action)に関係しています。詳細については、こちらを参照してください。(https://press.springernature.com/sdgs/24645444 )
doi: 10.1038/s41586-024-07028-5
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