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ウイルス学:古代ウイルスは気候の変動に適応した

Nature Geoscience

2024年8月27日

Virology: Ancient viruses adapted to shifts in climate

チベット高原の氷床コアから、過去41000年間にわたって9つの期間で保存されていたウイルスゲノムを復元を報告する論文が、Nature Geoscienceに掲載される。この発見により、ウイルス群集の構成が気候変動に伴って変化したことが示され、過去の環境変化が微生物生態系にどのような影響を与えたかを理解する手がかりとなる可能性がある。

氷河の氷は、ウイルスやバクテリアなどの微生物を保存することができ、この氷を採取することで、これらの微生物群集の多様性に影響を与える要因を、数百年から数千年の期間にわたって評価する機会が得られる。長期間にわたる生態系の変化を評価できることは、進行中の気候変動に微生物群集がどのように適応していくかを理解するためのベースライン値を確立するのに役立つ。

Zhi-Ping Zhongらは、チベット高原のグリヤ氷河(Guliya Glacier)から掘削された長さ310メートルの氷床コアに保存されていたウイルスを特定するために、DNA抽出とメタゲノム法を用いた。著者らは、最も古いもので少なくとも41000年前の最終氷河期まで遡る、9つの異なる期間の氷のサンプルについてゲノム解析を行った。著者らは、1705種のウイルス分類単位のゲノムを復元した。寒冷期と温暖期では、ウイルス群集が異なっていることが示され、最も顕著な群集は、約11500年前の最終氷期と完新世の間の気候の移行期に確認された。 さらに分析を進めた結果、極端な環境下でウイルスが生き延びるために、豊富な代謝を発達させた可能性があることが示唆された。

著者らは、氷床コアのウイルス群集の変化は、別の地理的発生源から吹き込まれたウイルスによる可能性があると提案している。同様に、氷の中の環境条件に適応できる特定のウイルスのみが生き延びたことに起因する変異もあると考えられる。

Zhong, ZP., Zablocki, O., Li, YF. et al. Glacier-preserved Tibetan Plateau viral community probably linked to warm–cold climate variations. Nat. Geosci. (2024). https://doi.org/10.1038/s41561-024-01508-z

doi: 10.1038/s41561-024-01508-z

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