気候:20世紀の海水温を再考する
Nature
2024年11月21日
Climate: Revisiting twentieth-century ocean temperatures
20世紀初頭の海水温はこれまで考えられていたよりも高かったという新たな証拠を報告する論文が、Nature に掲載される。
地球の気温の推定は、通常、陸地の気温と海洋の気温を組み合わせて計算される。しかし、1900年代前半のデータを使用する場合、その後の測定技術の向上により問題が生じる可能性があり、これらの値をどのように解釈すべきかが問題となる。
Sebastian Sippelらは、陸地の気温または海洋の気温のみを用いて、地球の気温を復元する方法を開発した。その結果、ほとんどの年において、1900–1930年という顕著な例外を除いて、両者とも地球全体の気温変化をほぼ同じように推定できることがわかった。この期間では、海洋の数値に基づく推定値は、陸地のデータから生成された値よりも平均0.26℃低く、この傾向は他の証拠からは支持されない。著者らは、この食い違いは、この時期の海面水温データに補正されていないバイアスがかかっているためではないかと主張している。世紀後半に他の方法に移行したことで、海面水温の推定値が一致するようになった。著者らは、1900–1930年のデータソース間の一致の欠如は、この採取方法による未解決の寒冷バイアスが原因であることを発見した。
著者らは、このバイアスを補正すれば、19世紀半ば以降の地球全体の温暖化の推定には影響しないものの、20世紀初頭の温暖化傾向はより緩やかになると仮定している。これらの結果は、シミュレーションされた気温変化と観測された気温変化の間のより良い一致をもたらし、地球の気温変化を理解するために過去のデータを見直すことの重要性を示している。
- Article
- Open access
- Published: 20 November 2024
Sippel, S., Kent, E.C., Meinshausen, N. et al. Early-twentieth-century cold bias in ocean surface temperature observations. Nature 635, 618–624 (2024). https://doi.org/10.1038/s41586-024-08230-1
doi: 10.1038/s41586-024-08230-1
注目の論文
-
11月21日
天文学:近くの恒星を周回する若いトランジット惑星が発見されるNature
-
11月21日
気候:20世紀の海水温を再考するNature
-
11月20日
生態学:リュウキュウアオイが太陽光を共有するNature Communications
-
11月19日
気候変動:パリ協定を達成するために、CO2の受動的吸収を計算から分離するNature
-
11月18日
惑星科学:嫦娥6号のサンプルが裏側の月火山活動の年代を特定Nature
-
11月13日
地球科学:2022年のマウナロア火山の噴火を調査するNature Communications