注目の論文
暁新世-始新世高温極大期の説明できない温暖化
Nature Geoscience
2009年7月14日
Unexplained warming during the Palaeocene-Eocene Thermal Maximum
5,550万年前の急激な温暖化事件の際に放出された炭素量は、当時の気温を5~9℃上昇させるには不十分だったとする報告が、Nature Geoscience(電子版)に寄せられている。その研究は、大気中の二酸化炭素による温室効果は、現在まだ理解されておらず、将来の温暖化の見積もりには考慮されていない過程によって大きく増幅されたにちがいないことを示唆している。
R Zeebeらは、海洋堆積物の分析と炭素循環モデルを用いて、約10万年続いた暁新世-始新世高温極大期において放出された二酸化炭素量を見積もった。彼らは、大気中二酸化炭素レベルの増加に対する気候感度の現在の推定値を用いると、炭素放出は温暖化のうちの3.5℃までしか説明できないことを見いだした。彼らは、未知の温暖化フィードバックが温度上昇の残りの部分を引き起こしたと結論している。
関連したNews & ViewsでD Beerlingは、「Zeebeらの結論は、将来の温暖化に対する予測は、温室効果ガスが大気中に蓄積されるにつれて人類に降りかかろうとしている問題の大きさを、大きく過小評価している可能性があることを示している」と述べている。
doi: 10.1038/ngeo578
注目の論文
-
12月19日
天文学:月の年齢はより古いNature
-
12月19日
気候変動:南極の海氷減少が嵐の発生を促すNature
-
12月17日
惑星科学:土星の環が若々しい外観を保っている理由Nature Geoscience
-
12月12日
天文学:Firefly Sparkleが初期の銀河形成に光を当てるNature
-
12月11日
気候変動:世界的な観光産業による二酸化炭素排出量は増加し、不平等であるNature Communications
-
12月10日
Nature's 10:2024年の科学に影響を与えた10人Nature