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モデルの予想は2100年までに北極海は氷のない海になることを示唆している

Nature Geoscience

2009年3月16日

Model projections suggest ice-free Arctic Ocean by 2100

今世紀末までには、9月の北極海は氷が存在しない月になる、とNature Geoscience(電子版)に掲載される気候モデル予測と過去の観測の解析が示唆している。最新の気候モデルの多くは北極海を覆う海氷の観測された退行速度を過小評価しているが、過去と将来の海氷の進化と利用可能な観測との間にある物理的関連性を取り入れることで、モデルに基づいた確実な21世紀の見積もりを得ることができる。

複数の気候モデルシミュレーションにみられる値の幅を解析することで、J Boeらは、21世紀の夏に対してシミュレーションした海氷の広がりと、21世紀にわたって予測された海氷の退行速度との間に密接な線形関係があることを発見した。これらの予測を過去の海氷の広がりに対する人工衛星の観測により較正することで、彼らは、今世紀末までに北極海では9月に海氷が完全に失われる状態が起きるであろうと推測している。多くのモデルは観測された北極海の海氷の退行を過小評価しているにもかかわらず、この手法を用いて研究者は将来の海氷の広がりを予測することができたのである。

doi: 10.1038/ngeo467

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