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南洋の酸化は殻の質量を減少させる

Nature Geoscience

2009年3月9日

Southern Ocean acidification causing shells to lose weight

Nature Geoscience

海洋表層に生息し有孔虫と呼ばれる小さなアメーバ状の生物の殻は、産業革命前の時代の殻と比較すると薄くなっている、とNature Geoscience(電子版)の報告が示している。この発見は、海洋における炭素吸収の増加は、微生物が殻を作る能力に直接的な影響を及ぼすことを立証している。全球では、沈んでいく殻が有機炭素を海洋表層から輸送することで、有孔虫は深海への炭酸塩運搬の50%を占めている。

南洋で沈降粒子捕集装置を用いて、W HowardとA Moyらは、有孔虫の1つの種であるGlobigenina bulloidesの殻を、海底へと沈降していく途中で収集した。彼らは殻の質量(砂粒1つの大きさ)を海底から収集された古い殻の質量と比較した。研究者は、現在の殻の重さが産業革命前に形成されたものよりも30~35%軽いことを軽いことを発見し、それが人類起源の二酸化炭素の吸収が原因となって起きる南洋の酸化のためであるとした。

このような質量の損失が種の生存にどのような効果をもたらすか、すぐには明らかではないが、この研究から、海洋に二酸化炭素が増加すると海洋生物が殻を作る能力を減少させるという、過去に室内実験で明らかになっていたことが確実になった。

doi: 10.1038/ngeo460

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