注目の論文
大気の停滞
Nature Climate Change
2014年6月23日
Atmospheric stagnation
気候変動によって大気循環と水循環が変化し、その結果として大気の停滞現象が増えるという予測を明らかにした論文が、今週のオンライン版に掲載される。大気の停滞とは、特定の地域の上空に気団が長期間停滞する現象のことで、大気汚染への曝露が多くなるため、心血管疾患、呼吸器疾患など、健康に深刻な影響が生じることがある。
今回、Daniel Hortonたちは、さまざまな全球気候モデルに大気停滞指標を当てはめて、今後の大気停滞事象について調べた。Hortonたちは、高排出シナリオを用いて、大気停滞事象の頻度と持続期間の変化を検討した。その結果、現在の世界人口の55%以上について、大気停滞が増加し、熱帯域と亜熱帯域の大多数で、大気停滞が年40日増加するという予測を示した。
インド、メキシコと米国西部は、人口の多い地域での大気停滞事象が増えるために、健康上の悪影響が生じるリスクが最も高いとされる。気候変動の発生で、人口管理の改善による大気環境基準の確実な遵守が必要となることが、今回の研究結果によって示唆されている。
doi: 10.1038/nclimate2272
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