注目の論文
【気候科学】深海で新たなメタン吸収源が見つかった
Nature Communications
2014年10月16日
Climate science: A new methane sink in the deep sea
メタンガスは、気候変動の一因であるが、これまで知られていなかったメタンの生物的吸収源(シンク)に関する研究報告が、今週発表される。この研究では、深海の炭酸塩岩に生息する大量の微生物の呼吸作用にメタンが用いられ、全球スケールでメタンが海洋から除去されていることが明らかになった。メタンは、温室効果強制力に大きく寄与しており、メタンの流出入量と貯留層を突き止めることは、メタンサイクルの解明にとって重要だ。
今回、Victoria Orphanたちは、3か所の冷水湧出域(海底でメタンとその他の炭化水素を豊富に含む液体が自然に湧出している地域)に関連する炭酸塩岩を調べた。これらの地域の炭酸塩岩には、メタンの酸化の経時変化が受動的に記録されているとこれまで考えられていたが、Orphanたちは、こうした炭酸塩岩の中で生息する微生物がメタンを活発に利用し、消費しているという見解を示している。こうしたメタンを消費する重要な生物にとっての生態学的ニッチが炭酸塩岩であることが明らかになったのだ。
このメタン消費性微生物は、富酸素状態と低酸素状態のいずれにおいてもメタンを酸化させることができる。この微生物の群集が生息する炭酸塩岩は、水深500メートル以上の海中にあるためにサンプル採取が難しいが、類似した微生物群集が海洋の他の数多くの地域に存在している可能性が高く、全球的に重要なメタン吸収源となっている可能性がある。
doi: 10.1038/ncomms6094
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