アジア太平洋地域の科学の王座をめぐって中国と日本が一騎打ち
2014年3月26日
Nature Publishing Index(NPI)2013年アジア太平洋地域版が、Nature 3月27日号の付録として発行されます。アジア太平洋地域の世界の科学への貢献が拡大する中、中国と日本がアジア太平洋地域の科学研究のトップの座をめぐる争いを続けていることが、このインデックスから明らかになりました。
2013年に Nature および Nature 関連誌(18誌)に掲載された論文のうち、31%(1,371本)がアジア太平洋地域の研究者によるものでした。これは、2012年の28%(1,009本)を上回っています。インデックスの編集者たちは、「アジア太平洋地域は今後も、高品質の研究結果を促進する原動力となるでしょう」と話しています。
これまでトップの座を守り続けてきた東京大学は、2013年に初めて、中国科学院(CAS)にNPIアジア太平洋地域版の研究機関ランキングの王座を明け渡しました。2013年度の中国の功績は目覚ましく、化学の分野でアジア太平洋地域を牽引しました。
また、2013年の Nature および Nature 関連誌の掲載論文数を見ると、中国で研究活動を行う研究者からの論文数は、アジア太平洋地域の他のどの国の研究者からの論文数を上回りました。これは初めてのことです。インデックスの編集者たちは、中国の論文増加率は「今後2~3年の間にNPIアジア太平洋地域版でトップとなるペースだ」と話します。ただし、掲載論文数を著者の所属機関で調整すると、アジア太平洋地域のトップは日本でした。
2011年の東北地方太平洋沖地震から回復しつつある日本は、18億米ドル(約1800億円)の科学振興予算の助成の効果もあり、物理学、生命科学および地球環境科学の分野でNPIアジア太平洋地域版のトップを走っています。
オーストラリアは気候変動と免疫学研究で優れた業績を収め、3位を確実なものとしました。オーストラリアの中で上位にある研究機関は、世界ランキングでも上昇を続けており、メルボルン大学、オーストラリア国立大学、クイーンズランド大学は、アジア太平洋地域のトップ20にランクインしています。
韓国は、掲載論文数は4位でしたが、低調だった2012年と比べると2013年は Nature および Nature 姉妹誌の掲載論文数が増加しています。韓国は、政府・民間企業共に科学技術への多額の投資を発表しており、論文数の増加率は中国をもしのぐペースで急速に伸びており、インデックスの編集者たちは、韓国は「注目株」だと言っています。また、編集者たちがアジア太平洋地域で科学の成長率が最も高い国だと指摘する第5位のシンガポールは、過去10年間の数十億ドル(数千億円)規模の研究開発投資によって着実に成長しており、2013年の Nature および Nature 姉妹誌の掲載論文数は、2012年に比べほぼ2倍となりました。シンガポール国立大学(NUS)は、2012年にグローバル・トップ11に躍進し、2013年は南洋理工大学(NTU)がその仲間入りを果たしたことで、シンガポールはますます存在感を増しています。
台湾、インド、ニュージーランドは、それぞれ3年連続で6、7、8位を維持し、いずれの国も Nature および Nature 姉妹誌の掲載論文数が堅実に伸びています。
Nature Publishing Index(NPI)2013年アジア太平洋地域版は、Nature 3月27日号の付録として発行されます。これは、1年を通じて18のNature および Nature 関連誌に掲載された、各国および大学からの一次研究論文の数に基づいて作成されたランキングで、ここから2013年度のアジア太平洋地域における研究活動を垣間見ることができます。この地域の最新結果ならびにNature Publishing Index(NPI)世界版トップ100は、www.natureasia.com/en/publishing-index/ でご覧いただけます。ウェブサイトに掲載されているデータは、直近の12カ月のものになるよう毎週更新されています。
※本プレスリリースの原本は英語であり、日本語は参考翻訳です。
EN: http://www.natureasia.com/en/info/press-releases/detail/8450
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