Press release

新オープンアクセスジャーナル npj Science of Learning: ネイチャー・パブリッシング・グループ(NPG)とクイーンズランド大学が創刊

2015年1月28日

2015年1月29日(木)ネイチャー・パブリッシング・グループ(NPG)はクイーンズランド大学(UQ)と提携し、実験的環境および教育環境における学習を神経生物学的観点から研究する新たなオープンアクセスジャーナル npj Science of Learning 」を発行する運びとなりました。

UQのクイーンズランド脳科学研究所(QBI)のPankaj Sah教授が新ジャーナルの編集長に選任されています。Sah教授は、QBIのデピュティー・ディレクター、ならびにオーストラリア研究会議(Australian Research Council:ARC)のScience of Learning Research Centre(SLRC)のディレクターを務めており、情動反応の処理に関わる脳の領域であるへんとう体の研究に取り組んでいます。

Sah教授は次のように述べています。「教育に神経科学を取り入れることは、20世紀に医療における革命を引き起こした医学と生物学の融合と同じ可能性を秘めています。神経科学は今、面白い局面を迎えており、脳の機能における分子および細胞レベルの研究を教室に持ち込もうとしています。このジャーナルは、私たちがどうやって学習するかのみならず、どうすればより良く学習できるかについての研究を扱うものです」

オーストラリアでは2009/10年からの3年間に637億ドルという記録的な額の財源が教育機関に投資されたにもかかわらず、経済協力開発機構(OECD)の調査におけるオーストラリアの教育ランキングは下落しました。

Sah教授は、教育も医療と同等に扱う必要があり、新しい教育戦略は教室で実施する前に試行・評価を行うべきだとしています。「新薬を市場に出す前には必ず臨床試験を行うように、教育方法も厳密に試験を行うべきです」と教授は言います。

NPGオープンリサーチ部門パートナーシップ部グローバルヘッドのMartin Delahuntyは次のように述べています。「NPGは科学および教育に注力しており、science of learningは、新たなNature Partner Journalとしてまさに相応しいトピックと言えます。この分野は現在十分な注目を得られておらず、著者の多くはより広範な神経科学分野のジャーナルに論文を投稿しています。我々は分野を絞ってオープンアクセスの選択肢を提供したいと考えました。QBIと共に、この分野においてとても興味深い研究を行っているUQと提携できることを光栄に思っています」

UQのプレジデントならびにヴァイス・チャンセラー・プロフェッサーを務める Peter Høj氏は、次のように述べています。「現代教育の最も先駆的な領域において学術文献を広める npj Science of Learning を支援できることを誇りに思います。大規模公開オンライン講座(MOOC)「edX」で我々が提供している大量のデータを含め、神経生物学およびscience of learningの研究から得られる洞察は、学習に対するアプローチを改善し、良い学習成果をもたらす上で世界中の教育者たちの助けとなるでしょう」

「UQは、ARCのScience of Learning Research Centre(SLRC)の唯一の拠点となっています。このセンターは教育、心理学、神経生物学を融合し、学習成果の改善を目指しています。このオープンアクセスリサーチジャーナルを通して、この重要な分野における新しい知識を広く普及できることを嬉しく思います」

すべての論文がオープンアクセスで出版され、掲載と同時に無料公開されます。研究者から教育関係者まで、この分野に興味を持つ広い読者層が研究発表から有意義な情報を得ることができるようになります。

UQは現在、SLRCを通じてオーストラリア全域にまたがる大学や州政府と協力しており、これに関して2016年末まで助成金を得ています。また、学習状況下で生じる生物学的プロセスの研究に取り組むため独自のEducational Neuroscience Classroomを設置しています。

ジャーナル創刊に向けてUQ、QBI、およびNPGは2015年4月24日にオーストラリアのブリズベンにおいて「Science of Learning」に関するシンポジウムを開催します。本シンポジウムには、Nature編集長のPhilip Campbell氏、Scientific American 編集長兼シニアバイスプレジデントのMariette DiChristina氏、ヨーク大学Institute for Effective Education のJonathan Sharples博士をはじめ、第一線の研究者の参加が予定されています。

本ジャーナルはオンラインでこちらからアクセスでき、現在投稿を受け付けています。

以上

クイーンズランド大学について

クイーンズランド大学(UQ)は、オーストラリアの名門研究教育機関の1つです。独立系の有力グローバルランキングにおいて常にトップ100に入っています。また、UQは Nature Index においてオーストラリアでトップの論文出版研究機関となっています。

UQは、学生数4万5000人超、スタッフ数7500人超の規模で、その教育内容は研究から示唆を得ており、6つの学部と8つの研究施設を置いています。1世紀以上にわたり優れた人材を輩出、知のリーダーシップをとり、より良い世界の実現を目指してきました。
UQは、優れた実績と今後の世界の重大な課題解決に貢献する期待を背負い、社会および世界の環境に利益をもたらすべく常にさらなる高みを目指しています。UQは、知を蓄積し新たな研究テーマへと進む好奇心をかき立てる基礎的な研究から、産業や地域社会に直接生かされる応用研究や革新技術まで、全研究領域にわたり国際的に卓越した水準を実現しています。

詳細は、次の担当者までお問い合わせください。

大場 郁子
ネイチャー・パブリッシング・グループ
E:Ikuko.Oba@nature.com

※本プレスリリースの原本は英語であり、日本語は参考翻訳です。 英語プレスリリース
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