高品質研究に関する国際的連携の広がりに独自の洞察を提供する最新のNature Index
2015年11月10日
研究新興国が、研究先進国との連携によって恩恵を受けていることがNature Index 2015 Collaborationsによって明らかになりました。
Nature 2015年11月12日号の特別企画冊子として発行されたNature Index 2015 Collaborationsによって、高インパクトな研究は国際的な連携を通して行われているという、科学的発見の「第4の時代」が到来していることが改めて浮き彫りとなりました。また、Nature Index 2015 Collaborationsでは、研究新興国にとって、国際的な研究ネットワークへの参加がメリットとなることがはっきりと示されています。
Nature Index(www.natureindex.com)のデータベースでは、全世界の2万超の研究機関から寄せられる年間約6万件の高品質な科学論文の著者の所属機関を追跡しています。このデータベースは、Springer NatureがDigital Scienceと協力して蓄積しています。
Nature Index 2015 Collaborationsは、新しいスタイルで発行する最初のNature Indexです。データをより精査し、世界の科学界における連携の役割に関する疑問に答えています。本レポートでは、詳細な論説、世界の有力研究者へのインタビュー、さらにはインフォグラフィックによって、Nature Indexから集めたデータに命を吹きこんでいます。素晴らしいインフォグラフィックの数々は、データ可視化の専門業者Small Multiplesと科学技術研究支援企業であるDigital Scienceが制作しました。
NatureエグゼクティブエディターのNick Campbellは、次のように話しています。「Nature Index Collaborationsにより、世界の科学界における研究機関や国同士の関係、特に高品質で高インパクトな連携の原動力を、全く新しい視点から理解できると期待しています」。
Nature Index 2015 Collaborationsからの抜粋
- 英国の研究機関から出版された論文の半数超には、他国の共著者が含まれる。
- 米国から出版された論文で他国の共著者を含むものは約3分の1にとどまる。
- オーストラリアは、欧州諸国(特に英国)との連携が非常に多かったが、今では連携を拡大しつつあり、アジア太平洋地域(特に中国)とも連携を行うようになっている。
- スペインとポルトガルは、ブラジル、チリ、メキシコ、アルゼンチンが主体となって独自構造を持つ新たな地域ネットワークであるラテンアメリカとの連携が、欧州諸国の中で抜きん出ている。
- 中国科学院(CAS)は、weighted fractional count(WFC)で見ると世界首位だが、論文に記載されている所属機関の割合に基づくと、国際的な連携はCASよりも北京大学および清華大学の方が多い。
- アフリカのFractional Count(FC)の70%は、アフリカ以外の国との連携に由来している。アフリカ大陸内の連携を進める取り組みが実施されているものの、実際にはほとんど行われていない。
- モロッコ、アルジェリア、チュニジア、リビア、エジプトなどのアラビア語圏諸国は、その各国間で連携しており、この関係は南アフリカとの関係よりも強い。
- フランス[特に同国最大の研究機関であるフランス国立科学研究センター(CNRS)]と旧フランス領諸国間の連携が増える傾向にある。
- 産業界が高品質研究に非常に大きく貢献している。2014年で見ると、営利企業の研究機関はNature Index中の4分の1近くを占めており、約7%の論文に寄与している。
この他にもNature Index 2015 Collaborationsでは、持続的な成長を続ける中国の科学出版において国際的な連携が果たしている役割、産学連携において場所がいまだ重要な役割を果たしているかの評価、さらには政府の方針が国際的な学際連携を推進するために最良の方法なのかという疑問などに関する記事を掲載しています。
Nature Indexに関する詳しい情報についてはwww.natureindex.comをご覧ください。
Nature Index 2015 Collaborations内の可視化されたデータは、申請をいただければ、提供可能です。
詳細は、次の担当者までお問い合わせください。
大場 郁子
ネイチャー・パブリッシング・グループ:
E:Ikuko.Oba@nature.com
※本プレスリリースの原本は英語であり、日本語は参考翻訳です。
英語プレスリリース