シュプリンガー・ネイチャーは、コンテンツ・シェアリングを自社所有の全学術ジャーナルへと拡張します
2016年3月21日
著者および購読者は、2700種類以上の学術ジャーナルと年間30万本以上の新着論文のコンテンツを、幅広いプラットフォームでシェアできるようになります。また、主要メディアを介した一般からのアクセスについても、拡張されます。
シュプリンガー・ネイチャーは、研究者およびさまざまな利用者が著者、購読者、およびグローバル・メディア・パートナーを介して学術論文を自由に共有できるようにした、1年間にわたったnature.comでの試験的コンテンツ・シェアリングを、拡張することを発表しました。
シュプリンガー・ネイチャーは、まず Nature および Nature 関連誌の著者を対象として、査読済み学術論文への共有リンク(閲覧のみ)を提供します。その後、このイニシアチブは、シュプリンガー・ネイチャーが所有するジャーナルの原著論文著者へ拡大し、最終的にはシュプリンガー・ネイチャーが出版する全ての学術ジャーナルの原著論文著者に提供されます。この共有用リンクは、ソーシャルメディア、研究機関のリポジトリ、著者自身のウェブサイトだけでなく、多くの研究者が公開または非公開で協力・共有のために使っている共同研究のためのネットワークサービスなど、あらゆる場所に掲載できます。シュプリンガー・ネイチャーが所有する主要な学術ジャーナルについては、今後2か月以内にコンテンツ・シェアリング・サービスを開始する予定で、学会等が所有するその他の学術ジャーナルについては所有者との合意後に拡張されます。
共有機能を利用できるメディアパートナーの範囲も拡張されます。現在のメディアパートナーには、一般大衆を対象としているBBC、エコノミスト、Wired、ニューヨークタイムズに加えて科学ブロガーなどがあり、すでに100サイトを超えています。
コンテンツ・シェアリング・イニシアチブを実現するツールは、ReadCubeにより提供されています。同社の業界最先端の機能を利用することにより、学術論文の出版社版をエンハンスドPDFフォーマットで共有できます。エンハンスドPDFは、論文の全文閲覧に加え、文中引用・図表へのハイパーリンク、注釈機能、補足資料・図表・論文評価指標へのワンクリック・アクセスを提供しています。
シュプリンガー・ネイチャーは、研究コミュニティーの長期的なニーズに取り組むため、共有オプションをさらに拡張するよう計画中です。
2014年12月に50誌のジャーナルと6000本の論文を対象にnature.comで15カ月間にわたって試験的に実施したコンテンツ・シェアリングにより、論文アクセス数が130万件超増加しており、今回のコンテンツ・シェアリング・サービスの拡張はこの成功に基づいて決定されました。この試験結果については、2015年12月に公表しています。購読者は今後も、共有用リンクを使うことでnature.comから学術論文をシェアできます。また昨年、シュプリンガー・ネイチャーは、学術商業出版社の国際的協会であるSTMのコンテンツ共有イニシアチブの策定と推進にも関与しています。
シュプリンガー・ネイチャーの一角をなす、Nature ResearchのマネージングディレクターであるSteven Inchcoombeは次のように述べています。「私たちは、著者や幅広い研究者のコミュニティーに対して、従来のPDFのダウンロードよりも簡単で、動的かつ価値の高い共有のための解決策を提供できることをうれしく思います。シュプリンガー・ネイチャーは、学術論文の大手出版社の1つとして、著者の権利を保護するという責務、そして研究者の出版物へのアクセスおよびその利用を最大化するという責務を重要視しています。研究者には研究協力と議論を促進するための一環としてコンテンツを共有するという正当なニーズがあり、また最新の研究結果を知りたいというニーズがさまざまなコミュニティーから高まっていることを考えると、今回のイニシアチブはバランスがうまく取れていると考えています。
当社は、2014年12月にnature.comを通して『オン・プラットフォーム』共有の取り組みを開始した最初の出版社です。15か月間にわたる試験は成功し、試験に関わった6000本の学術論文それぞれが平均200件以上のアクセスを生み出しました。シュプリンガー・ネイチャーは、現在年間30万本以上の新着学術論文があり、こうした論文についてマルチサイトでのコンテンツ・シェアリングを提供する最初の出版社となりました。我々は、今回のイニシアチブがより多くの共有につながると信じています。研究者およびさまざまなコミュニティーからの重要なニーズに応えるため、他の出版社も当社の取り組みに参加していただけることを願っています。」
ReadCubeの創立者でありCEOであるRobert McGrath氏は、次のように述べています。「共有は、発見に不可欠な要素であり、我々は、研究者へのアクセスを拡張するとともに持続可能なイノベーションに必要なデータ主導のヒントを与える解決策をシュプリンガー・ネイチャーと協力して開発できたことを非常に喜ばしく思います。研究者がコンテンツを共有して全文にアクセスできる新たなオプションを導入することで、このイニシアチブが学際的研究の発展に有意義な影響をもたらすことを願っています。」 (Twitterはハッシュタグ「#scishare」をつけてフォローしてください。)
2014〜2015年に行われた試験的なコンテンツ・シェアリング:
下記2つのイニシアチブは、2014年12月に導入され、現在も継続中です。
- nature.comに掲載されている49誌のジャーナルの定期購読者は、科学論文の全文(閲覧のみ)への固有のリンクを、自身にとって最も便利な方法(メールやソーシャルメディアなど)で同僚や共同研究者とシェアできるようになりました。対象となるジャーナルには、世界で被引用数が最も多い科学出版物である Nature、さらにはNature 関連誌の他、高品質な科学ジャーナル15誌が含まれています。この新たな取り組みは、世界の6000以上の大学と団体に所属する研究者と学生を対象としており、月間1000万人を超えるnature.comの利用者に向けて提供されます。研究論文のシェアは、個人が非営利目的に利用する場合に限られます。
- 世界100か所の報道機関とブログでは、記事のもとになったnature.comの科学論文全文への共有リンクを読者に提供できます。これにより、記事の読者は数千報にも及ぶ高品質な科学論文を閲覧可能になります。
シュプリンガー・ネイチャーについて
シュプリンガー・ネイチャーは、研究、教育、専門領域において世界をリードする出版社の1つです。高い評価と信頼を得ている多くのブランドから成る革新的な製品やサービスを通して、高品質なコンテンツを提供しています。シュプリンガー・ネイチャーは、世界最大規模の学術書籍出版社であり、世界で最も影響力のあるジャーナルを多数発行しています。またオープンリサーチにおけるパイオニアでもあります。当社の50か国超に及ぶ従業員数は約1万3000人で、売上高は15億ユーロです。シュプリンガー・ネイチャーは、ネイチャー・パブリッシング・グループ、パルグレイブ・マクミラン、マクミラン・エデュケーション、シュプリンガー・サイエンス+ビジネスメディアの合併により2015年5月に誕生しました。詳細についてはwww.springernature.comをご覧ください。twitter公式アカウントは@SpringerNatureです。
ReadCubeおよびデジタル・サイエンスについて
ReadCubeは、研究者、出版社、大学、および企業を対象に、研究コミュニティーへのアクセス性を高め、つながりを強化するためのソフトウェアを開発しています。ReadCubeおよびPapersブランドを含め、ReadCubeのウェブ、デスクトップ、およびモバイル・リファレンス管理ツールは、学術論文の検索、編成、読み取り、共有、および引用の方法を劇的に向上させます。Readcube Discoverによるインデックス作成、ReadCube Connect によるEnhanced PDF参照と共有、およびReadCube Checkout による論文レベルのeコマースを含め、ReadCubeの出版ソリューションは、現在、70以上のパートナーに採用されています。ReadCubeは、グローバル・メディア企業であるHoltzbrinck Publishing Groupが100%所有する技術部門、デジタル・サイエンスによりサポートされています。デジタル・サイエンスは、インテリジェントな知識発見ツールや研究室用のソフトウェアアプリケーション、さらにマネージャーの意思決定を支援するシステムなど、科学を広範囲にわたり支援する技術とデータソリューションを提供しています。詳細についてはhttp://www.digital-science.comをご覧ください。twitter公式アカウントは@digitalsciです。
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大場 郁子
シュプリンガー・ネイチャー
E:Ikuko.Oba@springernature.com
※本プレスリリースの原本は英語であり、日本語は参考翻訳です。
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