Press release

研究機関は規模が全てではないことが、Nature Indexの最新ランキングで明らかに

2019年6月20日

Nature Index 2019 Annual Tables logo

質の高い研究論文の発表数ランキングの上位を占めるのは、米国と中国の主要研究機関であるものの、一部の小規模な研究機関では質の高い論文の発表割合が高いことが、Nature Indexの新しい正規化ランキングによって明らかになりました

ロンドン | メルボルン | ニューヨーク | 東京 2019年6月20日 (8月12日修正)

Nature Index 2019 Annual Tables cover

今回発表されるNature Index 2019の国別研究力ランキングでは、第1位は米国で、第2位の中国を大きく離しています。第3位にランクインしたのはドイツでした。一方、研究機関別ランキングの上位3機関は、中国科学院、米国ハーバード大学、ドイツ・マックス・プランク学術振興協会で、これらの機関が他機関を圧倒しています。なお、今回のNature Indexでは、自然科学分野における研究機関の全発表論文数に対する質の高い論文数の割合を考慮した正規化ランキングを初めて掲載しており、この正規化ランキングでは、上位の研究機関の顔ぶれが、通常のランキングとは異なることが分かりました。


上位100位のNature Indexランキングは、Article Count(AC)とFractional Count(FC)として知られるカウント法に基づいています。これらはそれぞれ、論文の数と、論文に対する機関の相対的貢献度を示しています。新しい正規化ランキングは、これまでのランキングとは異なり、「FC」を、Digital ScienceのDimensionsデータベースで追跡されている「機関の自然科学分野における総論文数」で割ることによって算出しており、機関の規模で正規化しています。ACとFCは、Nature Indexが選定した82の著名な自然科学系学術ジャーナルに2018年に発表された約6万の論文に基づいています。一方、Dimensionsの自然科学分野の論文数は、2018年に追跡された388万本の論文から導き出しています。


正規化ランキングでは、第1位が米国コールド・スプリング・ハーバー研究所、第2位がイスラエル・ワイツマン科学研究所、第3位がオーストリア科学技術研究所という結果になりました。興味深いことに、正規化手法では、いくつかの有名な研究機関のランキングが通常のものよりもわずかに低いことが見て取れます。


Nature Indexの創設者であるDavid Swinbanksは、次のように述べています。「今回のNature Index年間ランキングでは、通常のランキングを正規化ランキングと共に掲載しています。特に興味深いことに、こうすることで、質の高い論文の割合は大規模な研究機関を上回るもかかわらず通常のランキングではランク外に埋もれてしまう小規模な研究機関が複数明らかになりました。この正規化ランキングでトップ10にランクインした小規模な機関には、いくつかの共通した特徴があります。世界最高を目指すミッション・ステートメントに示されるような野心、研究分野を超えた強力な連携によってもたらされる学際性、そして一部の機関ではノーベル賞受賞者による支援です。」


今年のNature Indexの年間ランキングの発表と同時に、Natureの2019年6月20日号では特別冊子を発行します。この特別冊子では、FCの上位20の機関、Nature Indexの各主要分野の上位10の機関、および上位の国・地域のデータを視覚化した図を掲載しています。さらにnature.comでは、生命科学、化学、物理科学、地球環境科学、そして正規化されたトップ10など、7つのカテゴリーについてのトップ10ランキングを掲載します。さらに、natureindex.comでは、トップ10の政府機関やトップ10の医療機関などに焦点を合わせた、さまざまなカテゴリー別ランキングを掲載しています。

<Nature Index 2019:日本の研究力>
Nature Index 2019の通常の年間ランキングによると、日本の研究力は世界5位で、FC(調整後)の減少率は、フランスに次いで2番目に大きかったことが分かりました。東京大学は、世界の研究機関ランキングでトップ10にランクインしたものの、FCの減少率は12.0%で、これはトップ10の研究機関中、最大でした。


正規化ランキングでは、沖縄科学技術大学院大学(OIST)が世界第9位にランクインし(通常のFCランキングでは、世界第360位)、日本の研究機関中、第1位でした。正規化ランキングで上位100位以内に入った日本の研究機関(東京大学、京都大学、大阪大学、名古屋大学)は全て、通常のランキングの順位の方が高く、これは世界の上位の有名な研究機関が正規化ランキングで順位を落としているのと同様の傾向でした。

Nature Indexは、所属する著者および機関の関係を示すデータベースです。Nature Indexは、独立した研究者グループによって選ばれた、82の質の高い自然科学ジャーナルに掲載された研究論文への貢献度を追跡します。

Nature Indexは、機関レベルおよび国・地域レベルでの発表論文の絶対数および割合数を提供します。そのため、質の高い研究成果および共同研究のグローバルな指標となります。Nature Indexのデータは定期的に更新され、直近12か月のデータは、natureindex.comのクリエイティブ・コモンズ・ライセンスに基づいて利用可能になります。 データベースは、シュプリンガー・ネイチャーによって管理されています。

Dimensionsは、発見と研究へのアクセスを再構築する研究への卓見を提供するプラットフォームです。 世界中の100を超える大手研究機関と共同でDigital Science社によって開発されたDimensionsは、助成金、出版物、引用文献、代替指標、臨床試験および特許をまとめて、最も関連性の高い情報をすばやく見つけてアクセスできる、学術的およびより幅広い研究成果を分析し、将来の戦略を知るための卓見を集めるプラットフォームを提供します。詳しくは、 https://www.dimensions.aiをご覧ください。

Nature Indexでは、研究成果発表数および連携の指標として以下の種類のカウント法を採用しています:

Article count(AC)– 論文において、ある国ないし機関から1人でも著者として名前が挙げられていれば、その国ないし機関の論文1点(ACを1)として数える計算方法。その論文に著者が1人しかいなくても、100人の著者がいても、それぞれの著者の所属国(または機関)において論文1点として数えられることになるため、同じ1本の論文が、複数の国(または機関)においてACとして数えられることを意味します。

Fractional count(FC)– FCは、ある論文に対する各共著者の相対的貢献度を考慮に入れる方法。論文1本につき最大FCは1.0です。この1点分を、共著者全員が等しく貢献したという仮定のもと、共著者間で等しく分けます。例えば、10人の共著者がいる論文の場合、各共著者はそれぞれ0.1分のFCを割り振られることになります。

Normalized FC – Normalized(正規化)FCは、Nature Indexにおける機関のFCを、機関が発表した自然科学分野における総論文数(Dimensionsのプラットフォームで追跡)で割ることによって計算されます。今回のランキングは、201811日から1231日までのデータに基づいて、Nature Indexの上位500の研究機関のFC正規化することによって生成されています。

 

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1869年創刊の Nature は、世界有数の週刊の国際科学雑誌です。さらに、ネイチャー・リサーチ、定期購読用のさまざまなNatureブランドのジャーナルをはじめ、さらには、オープンアクセスの主要な学際的ジャーナルである Nature CommunicationsScientific Reports などのオープンアクセスジャーナル、研究機関と学会の協力による Nature Partner Journals も出版しています。

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詳しい情報については、nature.com をご覧いただき、@nresearchnews のフォローをお願いいたします。ネイチャー・リサーチはシュプリンガー・ネイチャーの一部です。

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宮﨑 亜矢子
シュプリンガー・ネイチャー
コミュニケーションズ
Tel: +81 3 4533 8204
E-mail: ayako.miyazaki@springernature.com

※ 本プレスリリースの原本(一部を除いて)は英語であり、日本語は参考翻訳です。

英語プレスリリース

※ 6月20日に発表された元のannual tablesは、誤ったFractional count、パーセンテージの変化、article countを使用してランキングを導き出したため、一部の機関が誤って順位付けされていました。本リリース文は、8月12日に発表されたannual tablesの修正版に基づいて修正しております。

 

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