コラボレーションのためのトレーニングは、キャリアに有効であると学術研究者の3分の2が回答
2019年10月9日
ネイチャー・リサーチ最新の調査結果から、若手研究者に提供されるコラボレーションスキルに関するトレーニングにギャップがあることが判明
ロンドン | ニューヨーク | ベルリン、2019年10月1日
物理科学、自然科学、社会科学の分野において、600名を超えるシニア・中堅の学術研究者および大学院生に対して行った調査の結果、調査対象者の多くが、共同研究プロジェクトを成功させるのに必要なスキルが欠如していると感じていることが明らかになりました。所属機関を通じて、または外部で、コラボレーションに関するトレーニングを利用したことがあると答えたのは、回答者のわずか20パーセントでした。一方で、共同研究は、ほぼすべての学術分野においてますます一般的に行われるようになってきています。この調査の結果は、ネイチャー・リサーチの調査報告書「Collaboration in Research」(研究におけるコラボレーション)に掲載されています。
共同研究は、以前から重視されていましたが、この50年の間にさらに広く行われるようになってきました。共同研究プロジェクトの件数が増加している理由の一つは、世界の交通網や通信の発展に伴い、国内外への移動や情報の伝達が、以前よりも容易で身近になったことです。別の理由として、最近の研究プロジェクトの多くが膨大なデータセットを伴い、強力なコンピューティング能力を必要とすることや、クリーンエネルギー発電、気候変動などのグローバルな社会的課題を取り扱うようになったこともあげられます。このようなプロジェクトへの取り組みに必要な専門知識とスキルの幅の広さは、大抵の場合、一個人、一研究所や一企業で対応しきれるものではありません。また、学術研究者が共同研究に熱心になったのは、産学連携も含めた共同研究による発表論文の引用される頻度が高いためでもあります。
シュプリンガー・ネイチャーのResearcher and Conference Services部門、Head of PublishingであるVictoria Pavryは次のように述べています。「若手研究者は、自信を持って共同研究プロジェクトに取り組むことが特に重要です。なぜなら、そのような研究が将来のさまざまなプロジェクトへの道を開く可能性があり、しかも生涯にわたって続くかもしれないからです。学術研究者が共同研究に向けた準備を整えられるようにするために私たちが講じられる手段が、コラボレーションに必要なスキルに関する適切なトレーニングを提供することです。例えば、チームワーク、プロジェクトと人員の管理、文化と分野を超えたコミュニケーション、ビッグデータの管理、運営管理と交渉のスキルなどのトレーニングです。」
Nature Masterclassesは、研究者の能力向上と支援に重点を置いています。そして今回の調査をもとに、若手と中堅の研究者を対象とした新しいオンライン講座「Effective Collaboration in Research」が開発されました。3部構成の本講座は、多忙な研究者を意識して設計されています。個人個人のペースで進めることができる、理解しやすい、オンデマンド型の講座です。講座の範囲と内容の方向性の決定にあたっては、専門家の方々のご協力を仰ぎ、そのうちの一部の方は講座のビデオにもご登場いただきました。国際的なサイエンスコミュニティから、共同研究における幅広い経験と知識を有する学術研究者の方々に協力をお願いしました。
現在は来年に向けて、研究者だけではなく、より広いコミュニティーからの直接的なフィードバックをもとに、Nature Masterclassesシリーズの新たな講座を開発しています。この2020年のシリーズは、研究者との協議を活かし、そこで明らかになったスキルと知識のギャップに取り組みつつ、研究者のニーズに最も適したフォーマットで立ち上げる予定です。
Nature Masterclassesに関する詳細は、こちらをご覧ください。
リンク:
• 調査報告書「Collaboration in Research」(研究におけるコラボレーション)
• Nature Masterclasses「Effective Collaboration in Research」
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詳しい情報については、nature.com をご覧いただき、@nresearchnews のフォローをお願いいたします。ネイチャー・リサーチはシュプリンガー・ネイチャーの一部です。
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※ 本プレスリリースの原本は英語であり、日本語は参考翻訳です。