未来を拓く地方協奏プラットフォーム「未来博士3分間コンペティション2019」をシュプリンガー・ネイチャーが支援
2019年10月15日
博士課程の学生が3分間で自身の研究をわかりやすく伝えることを競い合いました
東京、2019年10月15日
写真右:コンペンディオ氏、写真左:堀内 典明。Image: © Springer Nature
2019年9月14日、広島でHIRAKU 3MT(Three Minute Thesis)コンペティション2019が開催され、さまざまな国や地域、および分野の博士課程の学生が3分間で自身の研究ビジョンについて、1枚のスライドを使用して発表しました。また、イベント中にポスターセッションが行われ、高校生が独自の研究プロジェクトを研究者や一般の参加者に対して説明し、議論が繰り広げられました。
今回のコンペティションには、広島、愛媛、徳島、岐阜、山口、広島市立大学といった、主に西日本にある6つの大学に所属する25人の博士課程学生が参加しました。研究発表は、一般の聴衆を含む約300人に対して英語または日本語で行われました。審査委員会と聴衆の両方によって、研究のビジョンや内容の魅力、新規性やわかりやすさなどの基準に従って、プレゼンテーションが審査されました。
シュプリンガー・ネイチャー賞を受賞したのは、英語部門で発表した広島大学大学院統合生命科学研究科 統合生命科学専攻 ジェード・ダフニー ザラテ コンペンディオ (Jade Dhapnee Zarate Compendio)氏で、発表タイトルは、「フィリピンにはまだ野生のニワトリはいますか? (Are there still wild chickens in the Philippines?)」でした。コンペンディオ氏は、同コンペティションにおいて、ほかにもオーディエンス賞金賞(英語部門)を受賞しており、ダブル受賞となりました。
コンペンディオ氏は、受賞の喜びを以下のように述べています。
「先日行われた3MTコンペティションにおいて、シュプリンガー・ネイチャー賞とオーディエンス賞の両賞を授与されたことを大変光栄に思い、幸せに感じています。このコンペティションに参加することは、私の人生で最大のマイルストーンの1つであり、そのイベント中に2つの賞を受賞したことで、さらに貴重な体験になりました。シュプリンガー・ネイチャーと私に投票してくださった観客の皆さまに言葉を超えて感謝しています。賞をいただけたことに驚いていますが、2つの賞は私の自信を強め、私が取り組んでいるフィリピンにおける野生のニワトリの研究に対して、熱意を持って続けることへの決意がさらに強くなりました。さらに、3MTコンペティションを支えている皆さまと私の研究指導者である西堀 正英 准教授から、異なる人種、文化、言語の人々と私の研究を共有し、若い学生をインスパイアする自信と機会を与えてくださったことに感謝します。さらなる高みを目指すことは、とても意義があります。改めて、シュプリンガー・ネイチャーと3MTへの道のりを支えてくださった人々に心から感謝します。」
シュプリンガー・ネイチャーが発行するNature Photonics シニア・エディターの堀内 典明は審査員として参加し、次のように述べています。
「コンペンディオ氏の発表タイトル「Are there still wild chickens in the Philippines?」を読んだ当初、研究領域が非常に狭く感じたので、あまり良い印象は持っていませんでした。しかし、彼女のスピーチは私のネガティブな印象を完全に払拭しました。スピーチが進むにつれ、彼女の研究対象が野生動物の生態系へ展開され、それが環境問題、食糧問題なと、人類がこれから直面するであろう大きな問題に繋がっている事を私に気付かせてくれました。コンペンディオ氏の実体験に基づいたスピーチは論理的で、非常に分かり易いものでした。学際的かつ重要な研究課題に取り組むコンペンディオ氏の考えに共感し、新たな研究展開が期待されるので、シュプリンガー・ネイチャー賞に選ばせていただきました。
シュプリンガー・ネイチャーはこのコンペティションを通じて、野心的かつ学際的な研究課題に取り組む若手研究者の挑戦を後押ししていきたいと思います。」
広島大学理事・副学長であり、審査委員長を務めた河原 能久氏は、今回のコンペティションを振り返って次のように述べています。
「「未来博士3分間コンペティション」は、博士課程の学生が研究のビジョンや魅力を、3分間という短い時間で、わかりやすく一般の方々へ伝えることを競う企画です。これは、博士人材のコミュニケーション力の向上を図るとともに、一般の人々に博士人材の魅力や博士研究の有用性を理解していただくことを目的としています。
どの発表もよく準備されていました。今回のコンペティションでは、医学・歯学・薬学や農学分野の発表が比較的多く、研究が私たちの健康や生活の質の向上に貢献することを示してくれました。また、難民キャンプでの生の声を集め、異なる支援の必要性を指摘した発表は啓蒙的で刺激的でした。」
全ての参加者が熱意を持って自身の研究を簡潔明瞭に伝え、特に高校生が今後、研究者としてのキャリアを考えるうえで、非常に良い刺激となったことと思われる今回のコンペティションをシュプリンガー・ネイチャーとして支援することができました。
2008年にクイーンズランド大学が発足した3MT®イベントは、6大陸の400以上の機関で開催されています。シュプリンガー・ネイチャーが支援する2019 Asia-Pacific 3MTコンペティションは、2019年10月上旬にオーストラリアで開催され、オーストラリア、ニュージーランド、シンガポール、香港、マレーシア、タイ、および日本を含む2018年の大学3MTファイナリストが集結しました。
リンク:
• 2019 Asia-Pacific 3MT Competition
HIRAKUについて
未来を拓く地方協奏プラットフォームは、文部科学省の実施する科学技術人材育成のコンソーシアムの構築事業「次世代研究者育成プログラム」の取組で、「未来を拓く地方協奏プラットフォーム」をテーマに、広島大学・山口大学・徳島大学が共同実施機関となり(代表機関は広島大学)、連携機関には中国・四国地方を中心とする西日本の国公私立大学、そして多くの企業や公的機関の協力を得て実施しています。詳細は、こちらをご覧ください。
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